
製薬企業が決算で公表した製品別売上高などをもとに、2025年度の国内売上高が50億円以上の医療用医薬品169品目をランキングしました。3年連続トップのMSDのがん免疫療法薬「キイトルーダ」は、薬価ベースで2000億円を突破。2位は第一三共の抗凝固薬「リクシアナ」で、3位はサノフィの抗IL-4/13受容体抗体「デュピクセント」でした。日本イーライリリーの糖尿病治療薬「マンジャロ」は薬価ベースで1000億円を超えて8位に入っています。
トップ10はすべて1000億円超
医療用医薬品の国内売上高トップは、3年連続でMSDの抗PD-1抗体「キイトルーダ」。昨年11月に5度目となる市場拡大再算定を受けたものの、胃がんや胆道がん、悪性胸膜中皮腫など、ここ2年での適応追加が処方拡大につながり、薬価ベースで前年度比18.3%増の2269億円(IQVIA調べ)を売り上げました。2000億円超えは15年度のC型肝炎治療薬「ハーボニー」(2693億円)以来です。
2位は第一三共の抗凝固薬「リクシアナ」で、売上高は1418億円(前年度比6.6%増)。3位は薬価ベースで1334億円(9.6%増)を売り上げたサノフィの抗IL-4/13受容体抗体「デュピクセント」でした。2剤とも25年に承認された適応追加も追い風に堅調に売り上げを拡大。3位までは前年と同じ並びとなりました。
4位はノバルティスファーマの心不全・高血圧症治療薬「エンレスト」で、前年10位からジャンプアップ。未治療患者や治療不十分な患者への処方機会が広がっています。24年の小児心不全への適応拡大を踏まえて昨年の薬価改定で小児加算が認められたこともあり、薬価ベースで前年度比45.3%増となる1161億円を売り上げました。5位は小野薬品工業の抗PD-1抗体「オプジーボ」。胃がんや食道がんの適応で競争が激化した影響で5.0%減の1143億円となり、前年4位から順位を1つ落としました。

| 【注意事項】ランキングは▽国内製薬会社の26年3月期決算資料(一部25年12月期)▽外資系企業の業績発表資料(データ元はIQVIA)▽IQVIAの市場統計――などをもとに作成。集計対象は年間売上高が50億円以上の先発医薬品とワクチン。販売元と製造販売元がそれぞれ売り上げを公表している場合は販売元の数値を記載。外資系企業の多くは国内の製品売上高を公表しておらず、ランキングに反映されていない品目もあります。薬価ベースで売り上げを算出している製品(IQVIAのデータが該当)は、仕切価格をベースに算出している製品(国内製薬会社の決算発表が該当)より売り上げの額が大きくなるのが一般的です |
マンジャロ8位浮上
今回のランキングで売上高が1000億円を超えたのは10製品。薬価ベースで前年度3.8倍の1049億円を売り上げた2型糖尿病治療薬「マンジャロ」(日本イーライリリー)はトップ20圏外から一気に8位へと浮上しました。アストラゼネカは、肺がん治療薬「タグリッソ」、抗PD-L1抗体「イミフィンジ」、SGLT2阻害薬「フォシーガ」の3製品が1000億円超え。フォシーガは昨年末に後発医薬品が発売されたこともあり、前年度比1%減でした。
上位20製品のうちトップ10以下で前年度から売り上げを2桁以上伸ばしたのは、11位のSGLT2阻害薬「ジャディアンス」(24.6%増、ベーリンガーインゲルハイム)や13位の骨粗鬆症治療薬「イベニティ」(28.2%増、アステラス製薬)など。ジャディアンスは慢性腎臓病と慢性心不全が成長ドライバーとなり、1000億円に迫っています。
一方、売り上げを落としたのは、15位の眼科用VEGF阻害薬「アイリーア」(15.9%減、参天製薬)や18位の抗PD-L1抗体「テセントリク」(4.0%減、中外製薬)など。アイリーアは、昨年8月に市場拡大再算定を受けて薬価が引き下げられたことが影響しました。
リリー、イブグリースとマンジャロが急拡大
集計対象の169品目のうち、前年度からの伸びが最も大きかったのは日本イーライリリーのアトピー性皮膚炎治療薬「イブグリース」で、売上高は前年度比443.3%増の87億円。同社のマンジャロも280.2%増で伸び率2位となりました。23年発売したマンジャロは、販売開始3年目で早くも1000億円を突破し、急速に売り上げを伸ばしています。
MeijiSeikaファルマの慢性移植片対宿主病治療薬「レズロック」は、214.5%増の90億円。このほか、武田薬品工業の大腸がん治療薬「フリュザクラ」(177.6%増)、中外の発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ピアスカイ」(165.4%増)、アステラス製薬の胃がん治療薬「ビロイ」(164.5%増)が前年から2倍以上の伸びとなりました。
第一三共の不眠症治療薬「ベルソムラ」は、24年10月にMSDから販売移管した製品で、通年で売り上げを計上したことで87.9%増となっています。

一方、住友ファーマの2型糖尿病治療薬「エクア・エクメット」は前年度から売り上げが半分以下に減少。24年末から昨年にかけて後発医薬品が参入し、大幅な売り上げ減となりました。科研製薬の爪白癬治療薬「クレナフィン」も、オーソライズド・ジェネリック(AG)を含む後発医薬品が発売されたことで46.2%減の91億円。AGを合わせた売上高は132億円(21.5%減)でした。
中外は、抗がん剤「パージェタ」(37.5%減)と同「アバスチン」(22.8%減)、腎性貧血治療薬「ミルセラ」(21.5%減)がいずれも20%以上売り上げを落としました。パージェタは同薬を含む配合剤「フェスゴ」への置き換えが拡大。アバスチンはバイオシミラーの浸透と薬価改定が響きました。武田薬品の高血圧症治療薬「アジルバ」(39.5%減)と大塚製薬の利尿薬「サムスカ」(18.2%減)も後発品の浸透で大きく売り上げを落としています。
年間売上高50億円以上の全169品目のランキング
ここからは、2025年度に国内で50億円以上を売り上げた医療用医薬品169品目のランキングです。2025年発売の新薬では、第一三共の抗体薬物複合体(ADC)「ダトロウェイ」が131億円で84位にランクインしています。







| 【注意事項】ランキングは▽国内製薬会社の26年3月期決算資料(25年12月期の企業もあり)▽外資系企業の業績発表資料(データ元はIQVIA)▽IQVIAの市場統計――などをもとに作成。集計対象は年間売上高が50億円以上の先発医薬品とワクチン。販売元と製造販売元がそれぞれ売り上げを公表している場合は販売元の数値を記載。外資系企業の多くは国内の製品売上高を公表しておらず、ランキングに反映されていない品目もあります |
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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