
2026年3月期を中心に東証プライム上場の国内主要製薬企業35社(製薬が本業でない企業が手がける医薬品事業を含む)の直近の決算を集計したところ、売り上げトップ4.5兆円の武田薬品工業でした。2位は大塚ホールディングス(HD)で、3位のアステラス製薬と4位の第一三共は初めて2兆円を突破。35社全体の売上高は前期比5.0%増、営業利益は26.2%増でした。
上位10社中8社が売り上げ過去最高
売り上げ1位の武田薬品工業は前期比1.7%減の4兆5057億円。主力の炎症性腸疾患治療薬「エンタイビオ」が9580億円(4.8%増)を売り上げた一方、米国でADHD治療薬「ビバンセ」への後発医薬品浸透が響きました。2位の大塚HDは、抗精神病薬「レキサルティ」(3313億円、23.9%増)などの主力品が伸び、6.0%増の2兆4689億円でした。
3位のアステラス製薬は2兆1392億円(11.9%増)、4位の第一三共は2兆1230億円(12.6%増)。ともに主力品の拡大で2桁増収となりました。アステラスの前立腺がん治療薬「イクスタンジ」は売上収益全体の45%にあたる9608億円(5.3%増)を販売。第一三共の抗がん剤「エンハーツ」は、提携先からのマイルストンを含む収益が8195億円(25.8%増)まで拡大しました。
5位は1兆2579億円の中外製薬。血友病治療薬「ヘムライブラ」などの海外販売が好調で、7.5%の増収となりました。6位のエーザイは、10年3月期以来16年ぶりに売上収益8000億円超え。アルツハイマー病治療薬「レケンビ」は880億円(98.7%増)と前期から倍増しました。

7位の小野薬品工業は買収した米デサイフェラの業績が通期で寄与し、2年ぶりに5000億円台に。デサイフェラの消化管間質腫瘍治療剤「キンロック」は384億円を販売しました。8位の塩野義製薬も鳥居薬品の買収効果で前期比14.0%増の増収。ともに前年から1つずつ順位を上げています。2社と入れ替わる形で協和キリン(4968億円、0.3%増)が9位に後退しました。
10位の住友ファーマは、前立腺がん治療薬「オルゴビクス」(1550億円、86.6%増)など北米で販売する製品群が好調で13.7%増。順位は前年と同じですが、2期連続の2桁増収で、業績が急回復しています。
上位陣では、2位の大塚HDから9位の協和キリンまで8社が売上収益の過去最高を更新。グローバル製品の好調な販売が業績拡大を牽引しました。
営業利益トップは5988億円の中外
営業利益のトップは今年も中外製薬。5988億円で10.5%の増益となりました。営業利益率は0.5ポイント増の47.6%で、こちらも国内トップでした。
2位は4794億円の大塚HDで、売り上げ拡大と減損損失の減少により48.2%の増益。3位の武田薬品も効率化プログラムの効果で19.3%増と2桁増益でしたが、順位は1つダウンしました。アステラス製薬も全社で取り組むコスト最適化により約250億円の費用を削減。前期に多額の減損損失を計上した反動もあり、832.4%増の大幅増益となりました。
住友は事業構造改善効果やアジア事業の一部売却などで272.6%増の1073億円を確保。営業利益率は23.7%まで回復しました。
中外と住友のほか、塩野義(33.4%)と協和キリン(20.7%)も営業利益率が20%を超えています。

一方、上位10社で減益となったのは、第一三共とエーザイの2社。第一三共はADC製品の供給計画見直しに伴って製造委託先への損失補償などを計上し、31.0%減の2291億円にとどまりました。エーザイは製品導出・売却を見送ったことや、欧州で構造改革費用を計上したことで18.8%の減益。営業利益率は上位10社で最も低い5.3%でした。
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増収27社、増益19社
集計対象35社のランキングを見てみると、売上高1000億円を超えたのは21社。10位の住友ファーマから21位の持田製薬まで、前年から順位の変動はありません。後発医薬品メーカーでは、東和薬品が2737億円(5.4%増)で前年に続いてトップでした。

増収は35社中27社。11位以下で2桁増収となったのは、31位のJCRファーマ(21.9%増)や25位の日本化薬(医薬事業、12.3%増)、29位の富士製薬工業(12.0%増)など6社。JCRと富士製薬は前年からそれぞれ2つ順位を上げています。
営業利益は35社中19社が増益。サワイグループHDは前期に訴訟損失引当金を計上した反動で292.5%増、帝人は糖尿病治療薬の販売権の減損による償却費減少などによって136.0%の増益となりました。
一方、ペプチドリームは期中に見込んでいた導出が実現しなかったことで60.1%の大幅減収。営業利益は50億円の赤字でした。科研製薬は前期に導出一時金を計上した反動で18.3%の減収、9億円の営業赤字。杏林製薬も前期の導出一時金の反動で減収減益となりました。
研究開発費、9社が1000億円超
研究開発費のトップは、6759億円(7.4%減)を投じた武田薬品。2位は第一三共(4660億円、6.9%増)、3位は大塚HD(3528億円、12.3%増)でした。4位のアステラスは3.9%減の3148億円。武田薬品とアステラスはコスト最適化によって研究開発費を圧縮した一方、第一三共と大塚HDは注力製品群への資源投入で費用がかさみました。決算発表資料で研究開発費を開示した29社のうち、1000億円を超えたのは9社でした。

研究開発費の前期からの増加率が最も大きかったのはキッセイ薬品工業。甲状腺眼症治療薬の技術導入契約などによって74.7%増の225億円となりました。同社のほか、大塚HDや塩野義など8社が2桁増でした。一方、明治HD(医薬品事業、12.0%減)と住友ファーマ(11.8%減)は10%を超えるマイナスとなりました。
売上高に対する比率では、48.8%のネクセラファーマがトップ。JCRファーマ(41.6%)、小野薬品(28.5%)、ペプチドリーム(27.1%)、科研製薬(26.8%)と続きます。
海外売上高、25社で6.6%増
海外売上高もトップは武田薬品工業。ビバンセへの後発品浸透が響いて2.2%減の4兆725億円となったものの、売上高に対する比率は90.4%と前期に続いて9割を超えています。2位は1兆8502億円(12.5%増)のアステラス製薬で、3位は1兆7508億円(7.4%増)の大塚HDでした。4位の第一三共までが1兆円を超えています。
地域別売上高を開示した25社の海外売上高は約12兆6455億円で、前年から6.6%増加。25社中17社が前期から海外売上高を増やしました。このうち2桁増となったのは、ツムラ(52.4%増)、旭化成(25.1%増)、住友ファーマ(20.5%増)など9社。ツムラは現地企業の連結子会社化で中国事業が伸び、旭化成はスウェーデン・カリディタスの買収が通期で寄与しました。

海外売上高比率は、9割超の武田薬品のほか、アステラス(86.5%)、住友(81.6%)、協和キリン(74.1%)、第一三共(72.7%)、エーザイ(71.3%)、大塚HD(70.9%)が7割超。25社中13社が売り上げの半分以上を海外で稼いでいます。
【26年度】第一三共がアステラス抜くか
武田薬品は今期、3.0%増の売上収益4兆6400億円を予想。エンタイビオの売り上げは1兆円を超える見通しです。2位の大塚HDは2.1%増の2兆5200億円を見込みます。
第一三共は2兆2800億円(7.4%増)、アステラスが2兆2200億円(3.8%増)の売上収益予想で、順位の入れ替わりがありそうです。エンハーツはマイルストン込みで21.2%増の9933億円を見込む一方、イクスタンジは特許切れの影響で9100億円(5.3%減)を予想しています。
塩野義は7000億円の予想で1つ順位を上げる見通し。今年4月に田辺ファーマから承継した筋萎縮性側索硬化症治療薬「ラジカヴァ」(国内製品名・ラジカット)は米国と日本で1087億円の売り上げを計画しています。住友は米国事業のさらなる拡大で8位に浮上する見込み。一方、小野薬品はSGLT2阻害薬「フォシーガ」の共同販売契約の終了で11.8%の減収を想定しており、順位も10位まで下がりそうです。

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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