
2025年度に1億円以上の役員報酬を受け取った製薬企業・バイオベンチャーの役員は20社50人で、前年度から2人減少したことが分かりました。最高額は武田薬品工業の社長CEO(最高経営責任者)を今年6月に退任したクリストフ・ウェバー氏の23億1500万円。1億円以上の報酬を受けた役員の人数は大塚ホールディングス(HD)の8人が最多でした。
2位は武田のプランプ氏、3位は第一三共のケラー氏
製薬企業・バイオベンチャーの直近の本決算の有価証券報告書をもとに、1億円以上の報酬を受けた役員を集計しました。

トップは今回も武田薬品工業のクリストフ・ウェバー氏で、報酬の総額は前年度比1億5500万円増の23億1500万円。報酬の内訳は、武田薬品からの基本報酬が2億8000万円、賞与が1億5700万円、業績連動株式ユニット報酬が7億5500万円、譲渡制限付き株式ユニット報酬が4億2100万円。加えて、米国子会社からも総額7億100万円の報酬を受け取りました。
ウェバー氏の役員報酬が20億円を超えたのは3年連続。ウェバー氏は6月の株主総会で、12年間にわたって務めた武田薬品の代表取締役社長を退任しました。
ウェバー氏に次ぐ高額報酬は、武田薬品のアンドリュー・プランプ取締役R&Dプレジデント(12億5500万円、前年度比6000万円増)、3位は第一三共でオンコロジー部門を率いるジョセフ・ケネス・ケラー取締役(9億7900万円)。ケラー氏は今回初めて開示対象になりました。
4位はアステラス製薬の岡村直樹代表取締役社長(7億3300万円、7000万円増)、5位は塩野義製薬のジョン・ケラー取締役(5億7700万円)でした。
25年度に新たに開示の対象となったのは、第一三共のジョセフ・ケネス・ケラー氏、塩野義のジョン・ケラー氏のほか、今年3月にCEOに就任した協和キリンのアブドゥル・マリック代表取締役社長、参天製薬の中島理恵取締役執行役員COO(最高執行責任者)、JCRファーマのアンドレア・スペッチ取締役専務執行役員、エーザイの内藤景介代表取締役専務COOら。今年3月に東証グロース市場に上場し、初めて有価証券報告書を開示したジェイファーマは2人が1億円以上の報酬を受け取りました。
開示人数最多は8人の大塚HD
今年の集計で1億円以上の役員報酬を受け取っていたのは50人で、昨年から2人減りました。開示したのは20社で昨年と同数。50人の報酬の総額は155億9300万円で、昨年(52人・137億5400万円)を18億3900万円上回りました。
個別開示の対象となった役員の数が最も多かったのは8人の大塚HD。6人のエーザイ、4人の第一三共と続きました。武田薬品、アステラス、小野薬品工業、ジーエヌアイグループは3人が開示の対象となりました。

東京商工リサーチが26年3月期決算の企業を対象に行った集計(6月26日時点)によると、報酬1億円以上の役員を開示したのは387社934人。前年の364社887人を上回り、社数・人数ともに過去最多を更新しました。
10億円以上の報酬を受けたのは19人で、前年から4人増加しました。最高額はソフトバンク・グループのレネ・ハース取締役の61億3900万円。2位はキオクシアHDのステイシー・スミス会長(44億3100万円)、3位はソニーグループの十時裕樹社長(27億5700万円)で、武田薬品のウェバー氏は5位、プランプ氏は14位にランクインしています。
企業別の開示人数は、日立製作所が34人でトップ。2位は三菱UFJフィナンシャルグループ(18人)、3位は三井住友フィナンシャルグループ(15人)と続きました。
経営トップと社員の報酬格差 武田202倍、アステラス65倍
役員報酬と従業員の平均年収を比較してみると、格差が最も大きかったのは武田薬品のウェバー氏。役員報酬23億1500万円を従業員の平均年間給与1144万5000円で割ると、報酬差は202.3倍となります。従業員の平均年間給与は前年度から40万7000円増えましたが、格差は前年度の195.7倍からさらに広がりました。
ほかの主な企業の社長・CEOと従業員の報酬差を見てみると、アステラスが64.8倍、中外製薬が32.6倍、塩野義が29.3倍、協和キリンが26.7倍、第一三共が24.9倍、小野薬品が23.8倍、エーザイが20.9倍。中外を除いて前年度から軒並み格差は広がっています。
報酬1億円以上の役員50人のうち、従業員との報酬差が20倍を超えたのは28人で、昨年の集計から5人増加しました。






