
(写真:ロイター)
2026年6月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。
INDEX
【新薬】経口カルバペネム系抗菌薬「Utebzi」など

がん
Tregzi|米オルカバイオ
「Tregzi」は、造血幹細胞と制御性T細胞、通常型T細胞を組み合わせた細胞療法。骨髄破壊的前処置レジメンを伴う同種造血幹細胞移植を受ける血液がん患者に対し、慢性移植片対宿主病フリーの生存率(cGFS)を向上させるために使用される個別化細胞療法です。187人を対象に行った臨床第3相(P3)試験では、従来の同種移植に比べて2倍のcGFSを示しました。
眼
Lumvoa|米ビリジアン
抗IGF-1R抗体「Lumvoa」(一般名・veligrotug)は、甲状腺眼症(TED)治療薬。承認の根拠となったP3試験では、活動期・慢性期の両方で早くて3週目から眼球突出の軽減が見られたほか、複視の改善と完全消失において統計的に有意な効果を示しました。日本での開発・販売権はキッセイ薬品工業が持っています。
感染症
Utebzi|英グラクソ・スミスクライン
経口カルバペネム系抗菌薬「Utebzi」(tebipenem pivoxil)は、腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療薬。代替の経口治療選択肢が限られる、またはない成人患者が対象です。P3試験では、静脈内投与のimipenem-cilastatinに対する非劣性が確認されました。院外で服用可能となるため、患者や医療機関の負担軽減が期待されます。
【適応拡大】IbranceのHR・HER2陽性乳がん維持療法、TrodelvyのTNBC1次治療など

がん
Welireg+Keytruda|米メルク
HIF-2α阻害薬「Welireg」(belzutifan)と抗PD-1抗体「Keytruda」(pembrolizumab)の併用療法は、淡明細胞型腎細胞がんの術後補助療法として承認されました。腎摘出術・転移病変の切除後の再発リスクが中・高レベルの成人患者が対象です。P3試験では、Keytrudaとプラセボの併用に比べて再発・転移・死亡リスクを28%低減し、無病生存期間を有意に改善しました。
Truqap|英アストラゼネカ
AKT阻害薬「Truqap」(capivasertib)は、PTEN欠損の転移性アンドロゲン経路調節未治療または感受性前立腺がんに適応拡大しました。前立腺がん治療薬abiraterone、合成副腎皮質ホルモンprednisoneと併用します。PTEN欠損のある患者は進行が早く、予後不良であることが知られています。P3試験では、放射線学的進行・死亡のリスクを19%低減させました。欧州でも申請済みで、日本ではP3試験の段階にあります。
Ibrance|米ファイザー
CDK4/6阻害薬「Ibrance」(palbociclib)は、HR陽性・HER2陽性の局所進行または転移性乳がんの導入療法後の維持療法として承認を取得。抗HER2療法trastuzumab(pertuzumabの併用を問わない)と内分泌療法と併用します。抗HER2療法と内分泌療法への上乗せを検証したP3試験では、疾患の進行または死亡のリスクを24%低下。日本でも同試験の結果をもとに25年11月に申請を行っています。
Trodelvy|米ギリアド
抗TROP2抗体薬物複合体「Trodelvy」(sacituzumab govitecan)は、切除不能な局所進行または転移性のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療に適応拡大。▽PD-1/PD-L1阻害薬の対象とならない患者に対する単剤療法▽PD-1/PD-L1阻害薬の対象となる患者への抗PD-1抗体「Keytruda」(pembrolizumab)との併用療法――として使用できます。P3試験では、単剤療法、併用療法ともに疾患の進行または死亡のリスクを有意に低下させました。日本でも単剤、併用の療法で申請中です。
皮膚
Skyrizi|米アッヴィ
抗IL-23p19抗体「Skyrizi」(risankizumab)は、全身療法や光線療法の対象となる中等度から重度の尋常性乾癬、活動性乾癬性関節炎の適応で、6歳以上の小児に対象を拡大しました。日本でも昨年10月に申請済みです。
Zoryve|米アーキュティス
PDE4阻害薬「Zoryve」(roflumilast)は、0.3%クリーム製剤が尋常性乾癬の適応で2~5歳の小児に対象を拡大しました。間擦部も含めて体のどこにでも使用が可能です。日本では24年、佐藤製薬が乾癬やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を対象とするライセンスを取得しています。
循環器・代謝
Tzield|仏サノフィ
1型糖尿病治療薬「Tzield」(teplizumab)は、ステージ3と診断された8~17歳の小児を対象に、内因性インスリン産生の低下を遅らせる疾患修飾療法として迅速承認を取得しました。同薬は抗CD3抗体。これまでは、1歳以上のステージ2の患者を対象に承認されていました。今回の承認の根拠となったP3試験では、Cペプチド(膵β細胞でインスリンが合成される際の副産物。インスリン分泌量の指標)の低下を抑制する効果が確認されました。日本ではステージ2の患者を対象としたP2試験が進行中です。
Tryngolza|米アイオニス
「Tryngolza」(olezarsen)は、重症高トリグリセリド血症治療薬。トリグリセリド値の低下と急性膵炎のリスクを低下させる目的で、食事療法の補助として使用します。同薬は、中性脂肪代謝の調整因子であるアポリポタンパク質C-Ⅲ産生を抑制するよう設計された核酸医薬。24年に家族性高カイロミクロン血症症候群治療薬として承認されています。
血液
Hympavzi|米ファイザー
週1回投与の血友病治療薬「Hympavzi」(marstacimab)は、▽インヒビター保有の12歳以上の血友病A・B患者▽インヒビターの有無を問わない6~11歳の小児の血友病A・B患者――に適応拡大しました。同薬は抗TFPI抗体で、インヒビターを持たない12歳以上の患者を対象に日米欧で24年に承認。日本ではインヒビター保有患者への適応拡大を申請中で、小児適応でもP3試験が行われています。
ワクチン
Capvaxive|米メルク
21価の肺炎球菌ワクチン「Capvaxive」は、2~17歳に対象を拡大しました。小児肺炎球菌ワクチンの初回接種を終え、かつリスクを高める慢性疾患を1つ以上持つ患者が対象。日本でも申請中です。
【バイオシミラー】印ルピンのranibizumab

Ranluspec|印ルピン
「Ranluspec」は、米国で4剤目となる眼科用VEGF阻害薬「Lucentis」(ranibizumab)のバイオシミラーとして承認されました。同社にとっては米国で2つ目のバイオシミラーです。





