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新薬開発、米国の優位はあと10年ももたない?…中国台頭に強まる警戒感、研究資金削減にも懸念

更新日

ロイター通信

(写真:ロイター)

 

[サンディエゴ ロイター]米国の産業界と学術界のリーダーを対象に行われた最近の調査によると、中国は臨床試験の実施数で米国を上回る一方、バイオメディカルサイエンスの質と商業化では依然として米国に後れをとっている。

 

キュア・イノベーション・インデックスが行った調査によると、▽科学的発見▽臨床開発▽技術移転▽資本・商業化▽アプライチェーン▽人材――の6項目のうち、中国は臨床開発とサプライチェーンの2項目で明らかに米国を上回った。一方、米国は技術移転、資本・商業化、人材の3項目で優位に立っている。科学的発見では互角だった。

 

存亡にかかわる脅威

「米国は依然として中国をリードしているが、その地位は揺らぎつつある。回答者の大半が、中国の存在を存亡にかかわる脅威と認識している」。キュアのCEO、シーマ・クマール氏はこう指摘する。

 

調査には117人が回答したが、その85%は「米国のリードはあと10年ももたない」と答えた。この調査結果は、6月22日に米サンディエゴで開かれたバイオテクノロジーイノベーション協会の年次総会で発表された。

 

グローバル製薬企業は近年、中国で生まれた新薬候補を取り込むことで自社のパイプラインを強化している。中国はコストが低く、規制が簡素化されており、一部では政府の補助金が不当な優位性をもたらしていると指摘されている。

 

ジョージタウン大が行った調査によると、初期の医薬品開発プログラムにおける米国のシェアは2015年から24年にかけて48%から37%に低下。一方、中国は8%から32%に急上昇している。

 

グローバル製薬企業は、わずか8000万ドルほどの契約一時金が数十億ドル規模の新薬に化けることを期待し、中国からのライセンス取得を加速させている。

 

こうした流れに米国政府は警戒を強めている。「新興バイオテクノロジーに関する国家安全保障委員会」は昨年12月の報告書で、「中国は垂直統合型のバイオテクノロジーエコシステムを体系的に構築しており、現在、米国の主導的地位を脅かす絶好のポジションにいる」と警告した。

 

研究資金確保を

米国の保健当局は6月22日、医薬品研究を加速させる一連の施策を通じて「臨床試験における米国の主導権を取り戻す」ためのプログラムを発表した。昨年後半にドナルド・トランプ大統領が署名して成立したバイオセキュア法は、米連邦政府機関と米国外のバイオテクノロジー企業との取引を制限するものだ。

 

キュアのクマール氏は「中国にはスピード、規模、製造力、開発力、実行力がある。対する米国は科学の質、人材、技術移転に優れており、何より世界最大のヘルスケア市場へのアクセスという強みがある」と指摘。「商業化こそが米国のスーパーパワーだ。買い手は米国にいるのだから」と話す。

 

IQVIAによると、世界の医薬品市場における米国のシェアは25年に53%に達し、21年の49%から上昇した。欧州は24%と横ばいで、アジア太平洋地域は13%から11%へと低下している。

 

クマール氏によると、今回の調査でもう1つ明らかになった重要なことは、中国との競争よりも、米国の研究資金削減の脅威のほうが大きな懸念事項として挙げられたことだ。

 

同氏は「米国には必要な要素がすべてそろっているが、資金提供の方法は変える必要があるだろう」と話す。国立衛生研究所(NIH)の資金確保を確実なものとし、約50年前のバイドール法から見直されていない臨床開発インフラを近代化するために、さらなる取り組みが必要だという。

 

(取材:Deena Beasley、編集:Mark Porter/Bill Berkrot、翻訳:AnswersNews)

 

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