
(写真:ロイター)
2026年7月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。
INDEX
【新薬】米ベラのIgA腎症薬「Trutakna」など

がん
Sarclisa Escena|仏サノフィ
抗CD38抗体「Sarclisa Escena」(一般名・isatuximab)は、多発性骨髄腫治療薬「Sarclisa」の皮下投与製剤。静注製剤が承認されているすべての適応が対象で、米イネーブル・インジェクションズ製のオンボディインジェクター(OBI)もしくは手動による投与が可能です。OBIは格納式の短い針を持つ自動注射器で、腹部に取り付けてボタンを押すと大量の薬剤を自動で投与します。OBIを使用した臨床第3相(P3)試験では、静脈投与に対する非劣性と輸注反応の軽減が確認されました。日本では手動による皮下投与が承認済みで、OBIを使った投与についても申請中です。
Revtorpyk|米セルキュイティ
PIK3およびmTORC1/2阻害薬「Revtorpyk」(gedatolisib)は、「HR陽性・HER2陰性の局所進行または転移性乳がん」の治療薬。1ライン以上の内分泌療法による治療中または治療後に病勢進行が認められ、PIK3CA変異が検出されなかった患者が対象です。エストロゲン受容体拮抗薬(SERD)fulvestrantとの併用(CDK4/6阻害薬palbociclibの使用を問わない)を検証したP3試験では、病勢進行または死亡のリスクを有意に低下させました。
Jideytro|英グラクソ・スミスクライン
ROS1選択的阻害薬「Jideytro」(zidesamtinib)は、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん治療薬。今年7月に買収した米ニューバレントの開発品です。ROS1キナーゼ阻害薬による治療歴のある患者が対象で、P1/2試験では局所進行性または転移性の患者に対して意義のある持続的な奏効を示しました。日本も同試験に参加しています。
代謝・腎
Lipfendra|米メルク
経口PCSK9阻害薬「Lipfendra」(enlicitide)は、高コレステロール血症治療薬。ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(HeFH)を含む成人患者のLDL-C低下を目的に、食事療法や運動療法に追加します。P3試験では、プラセボと比べて統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示しました。日本ではP3試験を実施中です。
Trutakna|米ベラ・セラピューティクス
「Trutakna」(atacicept)は、原発性IgA腎症治療薬。進行リスクの高い成人患者が対象です。同薬は、B細胞の増殖に関わるサイトカインのAPRILとBAFFを阻害する融合タンパク製剤。進行中のP3試験で示されたタンパク尿減少効果をもとに迅速承認を取得しました。日本ではP3試験が行われています。
精神・神経
Simtriyo|大塚製薬
「Simtriyo」(centanafadine)は、1日1回投与の注意欠如・多動症(ADHD)治療薬。6歳以上が対象です。NDSRIと呼ばれる新規の作用機序を持ち、脳内神経伝達物質のノルエピネフリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害します。P3試験では、プラセボ群と比べて統計学的に有意かつ臨床的に意義のある症状改善を示しました。日本と中国でP2/3試験が進行中です。
眼
Lytenava|米アウトルック
「Lytenava」は抗VEGF抗体bevacizumabの硝子体内注射。滲出型加齢黄斑変性を対象に承認されました。bevacizumabは20年以上にわたって適応外で加齢黄斑変性の治療に使われてきましたが、Lytenavaは眼科用のbevacizumabとして初めて承認を取得しました。
【適応拡大】エーザイの早期AD薬「Leqembi IQLIK」初期療法など

がん
Keytruda+Padcev|米メルク/アステラス製薬
抗PD-1抗体「Keytruda」(pembrolizumab)と抗ネクチン4抗体薬物複合体(ADC)「Padcev」(enfortumab vedotin)の併用療法は、シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がんの術前術後補助療法に適応拡大。今回の承認でシスプラチン適応の有無にかかわらず使用できるようになりました。Keytrudaは皮下投与製剤「Keytruda QLEX」も対象です。承認の根拠となったP3試験では、標準治療と比べて再発、病勢進行または死亡のリスクを約50%低下させました。日本ではシスプラチン適応・不適応の両方で申請中です。
Pluvicto|スイス・ノバルティス
放射性リガンド療法「Pluvicto」(lutetium lu 177 vipivotide tetraxetan)は、「前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性の転移性アンドロゲン経路調節未治療/感受性前立腺がん」(ホルモン感受性前立腺がん)に適応拡大。アンドロゲン受容体経路阻害薬と併用します。承認の根拠となったP3試験では、標準治療に上乗せすることで病勢進行または死亡のリスクを33%減少させました。日本でも同適応への適応拡大を申請中です。
精神・神経
Leqembi IQLIK|エーザイ
抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「Leqembi」(lecanemab)の皮下注製剤「Leqembi IQLIK」は、早期アルツハイマー病に対する初期療法として新たに承認を取得しました。同製剤は25年8月に維持療法として承認済み。今回の承認で、初期療法から維持療法までの全投与期間で在宅での皮下投与が選択できるようになり、患者やケアパートナーの負担軽減を期待します。日本と中国でも初期療法を対象に申請中です。
腎
Fabhalta|スイス・ノバルティス
補体B因子阻害薬「Fabhalta」(iptacopan)は、進行リスクのある原発性IgA腎症における腎機能低下を遅らせる薬剤として通常承認を取得しました。同薬は24年に「原発性IgA腎症におけるタンパク尿の減少」の適応で迅速承認を取得。その後、P3試験で、推算糸球体濾過量(eGFR)の変化量による評価でプラセボと比べて腎機能低下を49.3%抑制することや、腎不全への進行リスクを43%低減させることが示されました。日本でもIgA腎症への適応拡大を申請しています。
血液
Casgevy|米バーテックス・ファーマシューティカルズ
「Casgevy」(exagamglogene autotemcel)は、鎌状赤血球症と輸血依存性βサラセミアの適応で2歳以上12歳未満の小児を対象に追加しました。同薬は、体外CRISPR/Cas9遺伝子編集を使った細胞療法。5歳以上12歳未満の患者を対象に行った臨床試験の結果や製品特性に基づき、対象拡大が承認されました。12歳以上に対しては、23年に鎌状赤血球症、24年に輸血依存性βサラセミアで承認されています。
Wilate|スイス・オクタファーマ
フォン・ヴィレブランド病治療薬「Wilate」は、6歳未満の小児に対象を拡大。6歳未満の小児の定期的な予防療法に使用できる薬剤の承認は米国初です。12人の小児患者を対象に行ったP3試験の結果をもとに承認されました。
【バイオシミラー】Emergeのinsulin aspart

Garzulys|シンガポールEmergeバイオサイエンス
「Garzulys」は、米国で3剤目となる「Novolog」(insulin aspart)のバイオシミラー。販売はライセンス先の米Meithealが行います。
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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