
(写真:ロイター)
2026年5月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。
INDEX
【新薬】塩野義のコロナ予防薬「Xocova」、ビーワンのBCL2阻害薬「Beqalzi」など

がん
Veppanu|米アルビナス
エストロゲン受容体(ER)を標的とするPROTAC(標的タンパク質分解誘導薬)「Veppanu」(一般名・vepdegestrant)は、「1つ以上の内分泌療法を受けたあとに病勢進行したER陽性・HER2陰性、ESR1変異陽性の進行・転移性乳がん」の適応で承認されました。PROTACの承認は米国初。アルビナスと米ファイザーが共同開発しました。両社は5月12日、全世界の権利を米リゲル・ファーマシューティカルズに供与する契約を結んでおり、米国での商業化はリゲルが行います。日本では臨床第3相(P3)試験の段階です。
Beqalzi|中国ビーワン・メディシンズ
BCL2阻害薬「Beqalzi」(sonrotoclax)は、再発・難治性のマントル細胞リンパ腫の適応で迅速承認を取得。BTK阻害薬を含む少なくとも2つ以上の全身療法を受けた患者が対象です。承認の根拠となったP1/2試験の奏効率は52%でした。日本を含むグローバルP3試験が進行中です。
Decnupaz|米アッヴィ
CD123を標的とする抗体薬物複合体(ADC)「Decnupaz」(pivekimab sunirine)は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の治療薬。CD123はBPDCNで過剰発現するタンパク質です。BPDCNは60~70代の男性に多いまれな血液がん。幹細胞移植を含む強力な化学療法による初期治療後に多くの患者が再発し、治療選択肢が限られることが課題でした。
循環器
Baxfendy|英アストラゼネカ
アルドステロン合成酵素阻害薬「Baxfendy」(baxdrostat)は、新規作用機序の高血圧症治療薬。コントロール不十分な成人患者が対象で、ほかの降圧薬と併用します。米国では患者の約半数が複数の降圧薬を服用しているにも関わらずコントロールが不十分だとされています。Baxfendyは、血圧を上昇させるアルドステロンの産生を阻害する作用を持ちます。治療抵抗性の患者を対象に行ったP3試験では、標準治療への上乗せで収縮期血圧を有意に低下させました。日本ではP3の段階にあります。
呼吸器
Trimbow|イタリア・キエジ
「Trimbow」は、コルチコステロイドbeclomethasoneと長時間作用性アドレナリンβ2受容体作動薬formoterol、長時間作用性のムスカリン受容体拮抗薬glycopyrrolateを1つの吸入器にまとめた3剤併用の喘息の維持療法。2500人以上の患者を組み入れたP3試験の結果をもとに承認されました。
感染症
Hepcludex|米ギリアド・サイエンシズ
抗ウイルス薬「Hepcludex」(bulevirtide)は、慢性デルタ型肝炎ウイルス(HDV)感染症治療薬として迅速承認を取得しました。米国では、慢性B型肝炎ウイルス感染者の2~4%がHDVに感染しているとされています。Hepcludexは、HDVとHBVの両方の肝臓への侵入を阻害するペプチド。欧州でも承認済みです。
Zaynich|印ウォックハルト
抗菌薬「Zaynich」は、セファロスポリン系抗菌薬cefepimeと、βラクタマーゼ阻害薬zidebactamの配合剤。感受性グラム陰性菌による腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療薬として承認されました。欧州でも申請中です。
Xocova|塩野義製薬
抗ウイルス薬「Xocova」(ensitrelvir)は、新型コロナウイルス感染症の曝露後発症予防の適応で承認。曝露後72時間以内に服用します。P3試験では、投与後10日目までの発症リスクをプラセボに比べて統計的かつ臨床的に有意に67%低下させました。同薬は日本で治療薬として24年に、予防薬として今年3月に承認。欧州では治療と曝露後予防の適応で申請中です。
【適応拡大】「Enhertu」の乳がん術前術後療法、「Imfinzi」の筋層非浸潤性膀胱がんなど

がん
Bizengri|米パートナー・セラピューティクス
抗HER2/HER3二重特異性抗体「Bizengri」(zenocutuzumab)は、進行性・切除不能または転移性のNRG1遺伝子融合陽性の胆管がんに適応拡大。1つ以上の全身療法中またはその後に病勢進行した患者が対象です。承認の根拠となったP2試験の全奏効率は36.8%でした。日本ではP1/2試験が行われています。
Tecentriq|米ジェネンテック
抗PD-L1抗体「Tecentriq」(atezolizumab)は、分子的残存病変陽性の筋層浸潤性膀胱がんの補助療法に適応拡大しました。承認の根拠となったP3試験では、無病生存期間と全生存期間を有意に延長しました。日本でも申請中です。
Inqovi|大鵬薬品工業
DNAメチル化阻害薬decitabineとシチジンデアミナーゼ阻害薬cedazuridineの経口配合剤「Inqovi」は、BCL2阻害薬venetoclaxとの併用療法について「75歳以上または強力な寛解導入療法が適さない成人の急性骨髄性白血病」の適応で承認。cedazuridineによってdecitabineの経口投与時の分解を抑制しており、頻回の通院を必要とする注射剤のDNAメチル化阻害薬に代わる治療選択肢になると期待されています。
Enhertu|第一三共
抗HER2 ADC「Enhertu」(trastuzumab deruxtecan)は、早期乳がんの術前術後療法で承認を取得しました。術前療法はステージ2またはステージ3のHER2陽性乳がん患者が対象で、Enhertu投与後にタキサン、トラスツズマブ、ペルツズマブとの併用療法を行うもの。術後療法は、抗HER2療法による術前療法後に浸潤性残存病変を有するHER2陽性乳がん患者が対象です。日本と欧州では術後療法が申請されています。
Datroway|第一三共
抗TROP2 ADC「Datroway」(datopotamab deruxtecan)は、転移性または局所再発性の手術不能なトリプルネガティブ乳がんの1次治療に適応拡大。PD-1/PD-L1阻害薬の治療対象とならない患者が対象です。P3試験では、化学療法群と比べて全生存期間を有意に延長しました。日本と欧州、中国でも同適応で申請中です。
Imfinzi|英アストラゼネカ
抗PD-L1抗体「Imfinzi」(durvalumab)は、成人のBCG未治療の高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに適応拡大。BCGによる導入療法・維持療法と併用します。BCG未治療の高リスク患者に対する新薬は30年以上ぶり。臨床試験では、BCG単独と比べて1年後の高リスク疾患の再発、進行または死亡リスクを32%低下させました。日本や欧州でも申請を済ませています。
神経・筋
Vyvgart|ベルギー・アルジェニクス
重症筋無力症治療薬「Vyvgart」(efgartigimod alfa)は、すべての成人に対象を拡大。従来は抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の患者に限られていましたが、抗MuSK(筋特異的チロシンキナーゼ)抗体陽性、抗LRP4(低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4)抗体陽性、トリプル血清陰性を含むあらゆる血清型の患者への使用が可能となりました。重症筋無力症では、約20%の患者で抗AChR抗体が検出されないとされています。
免疫
Fasenra|英アストラゼネカ
抗IL-5受容体α抗体「Fasenra」(benralizumab)は、好酸球増多症候群に適応拡大。特定可能な非血液学的な2次的原因のない12歳以上の患者が対象です。承認の根拠となった臨床試験では、プラセボと比べて最初の悪化・再燃までの期間を延長し、リスクを65%低下させました。日本でも5月、同試験の結果をもとに承認されています。
循環器・代謝
Afrezza|米マンカインド・コーポレーション
「Afrezza」(insulin human)は、1型・2型糖尿病の適応で6歳以上の小児を対象に追加しました。同薬は食事前に吸入するインスリン製剤で、学校生活やスポーツ、食事、間食など日常生活にあわせて柔軟にインスリン療法を行うことが可能になります。
【バイオシミラー】米アコードのgolimumabなど

Ennumo|米アコード
「Ennumo」は、米国で8番目となる「Neulasta」(pegfilgrastim)のバイオシミラーとして承認されました。
Immgolis|米アコード・バイオファーマ
「Immgolis」は、関節リウマチや潰瘍性大腸炎に対する抗TNFα抗体「Simponi」(golimumab)のバイオシミラー。Simponiのバイオシミラーは米国初となります。皮下投与製剤に加えて、静注製剤「Simponi Aria」に対応する「Immgolis Intri」も承認。静注製剤は関節リウマチのみを適応としています。
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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