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mRNAがんワクチン、後期治験で初の有効性…モデルナ「早ければ来年にも利用可能に」

更新日

ロイター通信

(写真:ロイター)

 

[ロイター]モデルナとメルクは、共同開発している個別化mRNAがんワクチンについて、悪性黒色腫(メラノーマ)を対象に行った最終段階の臨床試験で再発・転移のリスクを低減させたと発表した。新たながん治療における大きな成功であり、モデルナの株価は一時160%急騰した。

 

「免疫療法は次のフェーズに」

試験は、同ワクチンとメルクの免疫療法薬「キイトルーダ」を併用して行われた。モデルナのスティーブン・ホーグ社長は、規制当局の承認が得られれば、再発リスクの高いメラノーマの切除手術を受けた数千人の患者が、早ければ来年にもこの治療の恩恵を受けられる可能性があると語った。

 

mRNAがんワクチンが後期治験で有効性を示したのは今回が初めて。同ワクチンは、がん細胞の特定の変異を標的として腫瘍を攻撃するよう患者の免疫系を訓練する。同様のアプローチは、メルクとモデルナを含む複数の企業が、肺がん、乳がん、膵臓がんなどでも検証している。

 

パーカーがん免疫療法研究所のカレン・クヌーセンCEOは、今回の試験結果について、固形がん治療に新時代の到来を告げるものとなる可能性があると評価。「今回の素晴らしい成果は、免疫療法を次のフェーズへと導くものだ」とし、「幸先の良いスタートであり、ここからすべてが始まる」と語った。

 

今回の試験結果は、モデルナにとっても転換点となる。同社は新型コロナウイルスワクチンに続く新製品の開発に苦戦し、mRNA技術に対するドナルド・トランプ米政権からの反発に直面している。ロバート・F・ケネディ・ジュニア米保健福祉長官はmRNAワクチンの安全性と有効性を批判し、関連プロジェクトへの5億ドル規模の予算を削減した。

 

それでも、米国立がん研究所(NCI)はmRNAを含むがんワクチンの臨床試験に資金を提供し続けている。

 

「需要に応えられると確信」

モデルナの株価は数年来の高値を更新し、時価総額は約400億ドル増加。メルクの株価も12%上昇した。世界的大ヒット薬となったキイトルーダの特許切れが近付くなか、がん領域での成長見通しに対する期待が高まった。

 

バイオテクノロジーセクター全般への投資家の関心も高めた。ナスダック・バイオテクノロジー株価指数は5.2%上昇し、過去最高値を更新した。

 

このワクチンは個別化治療であり、商用生産やスケールアップが課題になる可能性がある。ホーグ氏は、モデルナは今後数年間の需要に応えられると確信していると述べた。

 

詳細な試験結果は今後、学会で発表する。副次的評価項目の全生存期間(OS)に関するデータはまだ得られていない。

 

メラノーマは最も致死率が高い皮膚がんの1つ。NCIによると2023年の米国の患者数は150万人を超える。

 

8月19日に発表された試験の中間解析結果によると、intismeran(一般名)と呼ばれるこのワクチンとキイトルーダの併用は、キイトルーダ単剤と比べて、主要評価項目の無再発生存期間(RFS)と重要な副次評価項目である無遠隔転移生存期間(DMFS)の両方を達成した。

 

ホーグ氏は「この患者集団で、キイトルーダのような免疫チェックポイント阻害薬と比べて臨床的・統計的に有意な改善が確認されたのは今回が初めてであり、個別化治療でこのような結果が得られたのも初めてだ」と述べた。両社はすでにこの治療について規制当局と協議している。

 

(写真:ロイター)

 

「メラノーマだけで年間30億ドル」

ホーグ氏は、同ワクチンは米FDA(食品医薬品局)からブレークスルーセラピー(画期的治療薬)に指定されていることから、早ければ来年にも利用可能になる可能性があると指摘。今回の結果は画期的な出来事だと語った。

 

ウィリアム・ブレアのアナリスト、マイルズ・ミンター氏は、今回の中間解析結果は両社が承認取得に向けて有利な立場にあることを示すと同時に、ほかのがん種を対象とした同ワクチンの開発にも明るい見通しをもたらすと指摘した。

 

バークレイズのアナリストは先月、この治療法が2035年までにメラノーマだけで年間30億ドルを売り上げる可能性があるとの予測を示している。JPモルガンのアナリストらは、術後補助療法を対象としたintismeranの市場投入がモデルナの業績回復のカギになると見ている。

 

試験には、ステージIIB~IVのメラノーマで切除手術を受けた高リスク患者1137人が登録された。被験者は、キイトルーダを最大9回投与し、さらに個別化ワクチンを併用する群と、キイトルーダ単剤投与群に無作為に割り付けられ、1年間の治療を受けた。両社は、この試験で新たな安全性の懸念は認められなかったとしている。

 

両社は1月、この治療の臨床第2相(P2)試験の結果を発表し、5年後の再発または死亡のリスクが49%低下したことを明らかにしている。

 

モデルナのステファン・バンセルCEOはCNBCのインタビューで、最終治験のデータを得たばかりで、両社はワクチンの価格をまだ決めていないと述べた。

 

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