
IQVIAは5月21日、2025年度(25年4月~26年3月)の国内医療用医薬品市場が前年度比3.1%増の11兆8421億円だったと発表した。5年連続で前年を上回り、4年連続で過去最高を更新。抗がん剤や糖尿病薬などが大きく伸びた。製品売上高では、MSDのがん免疫療法薬「キイトルーダ」が2000億円を超えて3年連続のトップ。GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」は前年度の3.2倍の成長で早くも1000億円を突破した。
抗がん剤や糖尿病薬伸びる
市場の内訳は、▽病院(病床数100床以上)5兆6772億円(前年度比4.8%増)▽開業医(100床未満)2兆1480億円(0.3%減)▽薬局その他4兆169億円(2.6%増)――。病院市場では抗がん剤に加えアルツハイマー病や乾癬の新薬が拡大。一方、開業医市場では糖尿病治療薬や骨粗鬆症治療薬などが伸びた一方、新型コロナ治療薬やワクチンの減少が響いた。薬局その他市場では糖尿病治療薬や免疫抑制剤、乾癬向けの外用剤などが拡大した。

薬効別では、「抗腫瘍剤」が会計年度で初めて2兆円を突破し、2兆1717億円(10.0%増)でトップだった。2位はSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が伸びた「糖尿病治療剤」(8.3%増の8361億円)。3位は「免疫抑制剤」(1.9%増の6737億円)だった。
8.8%増の2912億円で10位となった「その他の骨格筋用剤」は、骨粗鬆症の治療ガイドラインで持効性注射剤が強く推奨されたことを背景に大きく成長。「ワクチン類」はHPVワクチンのキャッチアップ接種期間や新型コロナワクチン接種への助成が終了した影響で前年度を下回った。

26年1~3月の市場は前年同期比5.2%増の2兆8020億円だった。
1000億円超は11製品
製品売上高(薬価ベース)では、キイトルーダが2269億円(18.3%増)で3年連続のトップ。胃がんなどへの適応拡大が高成長を支えた。2位は第一三共の抗凝固薬「リクシアナ」(8.3%増の1641億円)。3位はアトピー性皮膚炎などの治療薬「デュピクセント」(9.6%増の1334億円)で、前年度から1つ順位を上げた。

上位10製品で最も伸びが大きかったのは、前年度のトップ10圏外から4位に急上昇した日本イーライリリー/田辺ファーマの糖尿病治療薬「マンジャロ」。222.5%増の1310億円を売り上げ、発売3年目で1000億円の大台を突破した。ノバルティスファーマの心不全・高血圧症治療薬「エンレスト」も38.2%増と大きく伸びた。
26年1~3月は、キイトルーダが537億円(前年同期比13.1%増)でトップ。2位は414億円(170.4%増)のマンジャロ、3位は376億円(5.4%増)のリクシアナだった。治療ガイドラインの改訂を追い風に、アムジェンの骨粗鬆症治療薬「イベニティ」(33.8%増の251億円)が10位にランクインしている。
リリーやアムジェンなど2桁成長
企業別の売上高ランキングでは、販促会社レベル(MRによる学術宣伝を通じて販促活動を行っている企業。2社以上ある場合はよりオリジネーターに近い企業)で中外製薬が5年連続のトップ。売上高は5493億円(2.8%増)だった。2位は第一三共(8.3%増の5332億円)、3位はアストラゼネカ(1.1%増の5170億円)で、2位と3位は前年度から入れ替わった。
2桁増となったのは、ノバルティス(10.5%増)、イーライリリー(40.3%増)、グラクソ・スミスクライン(22.0%増)、アムジェン(57.7%増)の4社。GSKは定期接種化された帯状疱疹ワクチン「シングリック」が寄与し、アムジェンはイベニティに加えて甲状腺眼症治療薬「テッペーザ」と抗がん剤「イムデトラ」の2新薬が高成長に貢献した。
販売会社レベル(卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ企業)のランキングでは第一三共が武田薬品工業を抜いてトップとなった。武田は2位に後退し、3位は前年度と変わらず中外。マンジャロを販売する田辺ファーマは2桁成長となり、前年度7位から5位へと順位を上げた。




