
(写真:ロイター)
[東京 ロイター]米投資ファンド・ベインキャピタルの傘下に入った田辺ファーマは、日本市場に注力し、毎年最大3つの新薬を投入する計画だ。同社幹部がロイターとのインタビューで明らかにした。
日本への投資「絶好の機会」
田辺ファーマは昨年、ベインキャピタルに約5100億円で買収された。ロイターのインタビューに応じた原田明久社長CEO(最高経営責任者)とコスタ・サルウコス会長は、自社研究と海外企業からのライセンスインを組み合わせ、開発パイプラインの再構築を目指していると語った。
ベインは昨年、製薬業界のベテランである両氏を田辺ファーマに招へいし、約350年前に大阪で創業した同社の立て直しを図っている。これは、日本の細分化され成熟した医薬品市場でプライベートエクイティモデルが成功するか検証するためでもある。
武田薬品工業でCFO(最高財務責任者)を務めた経歴を持つサルウコス氏は「日本のほかの製薬企業は過去5~10年、日本市場への投資を大幅に制限してきた。日本を衰退する市場とみなしていたからだ」と指摘。「これは、日本事業をあらためて強化し、革新的な新しいアセットを獲得し、研究開発に投資する絶好の機会だ」と強調する。
株主らが非中核事業の切り離すよう圧力を強めるなか、日本ではプライベートエクイティ主導の買収が急増している。LSEGのデータによると、2026年の現時点までに日本へのインバウンドM&Aは約140億ドルに達し、アジアを牽引している。
IQVIAによると、日本は世界4位の医薬品市場であり、24年の売上高は約616億ドルに上る。1人あたりの医薬品使用量は先進国のなかで最も多い。
一方で、製薬企業は国民皆保険制度の下で価格の引き下げが予測困難であることに不満を抱いている。加えて、規制上の障壁によって日本での新薬発売が米国から数年遅れる「ドラッグ・ラグ」も課題となっている。
赤芽球性プロトポルフィリン症薬「ブロックバスターの可能性」
元ファイザー日本法人社長の原田氏は、人口減少と高齢化が進むなかでアンメットメディカルニーズが存在する日本市場は依然として魅力的だと指摘。「欧米から遅れている医薬品を探し、それを日本に持ち込む。これは大きなチャンスだと考えている」と話す。
田辺ファーマは米国にチームを置き、免疫、希少疾患、がん、神経の各分野に焦点を当てて日本に導入可能な新薬を毎年2、3剤特定する任務を負わせている。
同社が開発中のパイプラインで最も有望視されているのが、日光に対する極度の過敏症を引き起こす希少疾患である赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)の治療薬だ。現在、臨床第3相(P3)試験を実施中で、サルウコス氏は「ブロックバスターになる可能性がある」と期待する。
両氏は、ベインによって買収された当時、田辺ファーマのパイプラインが乏しく、収益性も低かったことを認めている。三菱ケミカル傘下だった最後の年のコア営業利益は652億円だった。
田辺ファーマは今年、主力製品の1つである筋萎縮性側索硬化症(ASL)治療薬「ラジカヴァ」を塩野義製薬に25億ドルで売却した。新たな投資資金を確保するためだ。
田辺ファーマは、コア営業利益率を国内の競合他社並みの20~30%に引き上げることを目指している。「しかし、それには時間がかかる。達成には3~5年必要だろう」とサルウコス氏は語った。
(取材:Rocky Swift、編集:Clarence Fernandez、翻訳:AnswersNews)





