
国内製薬企業の2026年3月期第2四半期決算のハイライトを、コンパクトなビジュアルを交えてまとめます。随時更新(公開日:10月28日、最終更新:11月14日)。
明治HD(医薬品、11月13日発表)

▽売上高 1169億円(前年同期比2.7%増)
▽営業利益 143億円(22.8%減)
24年発売のROCK2阻害薬「レズロック」や5種混合ワクチン「クイントバック」などが売り上げを拡大。薬価改定の影響や研究開発費の増加により営業利益は落ち込んだ。26年3月期の業績予想は売上高を2433億円(従来予想比114億円減)に下方修正し、営業利益は260億円を据え置いた。海外事業が従来の計画を下回る見通し。
日本化薬(ライフサイエンス、11月11日発表)
▽売上高 330億6000万円(前年同期比8.4%増)
▽セグメント利益 53億1600万円(48.1%増)
バイオシミラーが45.6%増の73億円と好調で、後発医薬品の抗がん剤も3.8%増の111億円と堅調。販管費の減少も大幅増益に寄与した。26年3月期の業績予想は、売上高713億円(従来予想比2億円増)、営業利益93億円(14億円増)に上方修正した。
東和薬品(11月10日発表)
▽売上高 1304億7600万円(前年同期比5.7%増)
▽営業利益 104億4300万円(0.7%減)
▽経常利益 119億7900万円(15.9%増)
▽純利益 82億1400万円(25.3%増)
国内向け生産数量の増加で増収となったものの、米国での一部製品の売り上げ悪化や欧州での販管費の増加で海外の損失が拡大し、営業利益は微減。デリバティブ評価益の発生で経常利益と純利益は増加した。26年3月期は売上高2800億円(前期比7.9%増)、営業利益270億円(16.2%増)の従来予想を据え置いた。
ツムラ(11月10日発表)

▽売上高 898億9700万円(前年同期比0.9%増)
▽営業利益 171億1900万円(18.8%減)
▽経常利益 164億1900万円(29.8%減)
▽純利益 124億7700万円(28.7%減)
売上高は、限定出荷の影響などで4~6月期の販売が低調だった国内が0.5%減となった一方、原料生薬と飲片の販売が伸びた中国事業が13.9%増加。原価率の上昇や人件費の増加、情報提供活動の強化に伴う費用増などで利益は大きく減少した。26年3月期の業績予想は、売上高1980億円(従来予想比100億円増)、営業利益350億円(8億円増)に上方修正。虹橋飲片の連結子会社化による増収や費用の抑制を見込む。
科研製薬(11月10日発表)
▽売上高 393億5600万円(前年同期比23.4%減)
▽営業利益 2億300万円(99.0%減)
▽経常利益 6億700万円(96.9%減)
▽純利益 9億9200万円(93.0%減)
前年同期にライセンス契約に伴う一時金収入を計上した反動で減収。複数の製品導入の一時金支払いで研究開発費がほぼ倍増し、大幅な減益となった。26年3月期の業績予想は、売上高863億円(前期比8.2%減)、営業利益21億円(90.0%減)を据え置いた。
扶桑薬品工業(11月10日発表)
▽売上高 312億2900万円(前年同期比5.0%増)
▽営業利益 12億4700万円(48.8%減)
▽経常利益 11億3100万円(47.2%減)
▽純利益 8億3100万円(45.8%減)
腎・透析関連の後発医薬品の販売増、不採品再算定や最低薬価の引き上げで売上高は増加したが、原材料費や人件費の上昇による売上原価率の上昇が響いた。26年3月期は、売上高615億円(前期比1.5%増)、営業利益34億円(17.7%減)とした従来予想に変更はない。
生化学工業(11月10日発表)
▽売上高 179億1000万円(前年同期比11.4%減)
▽営業利益 5億5700万円の赤字(前年同期は25億3700万円)
▽経常利益 5億3100万円(77.4%減)
▽純利益 2億2900万円(88.1%減)
国内医薬品の売り上げは8.0%増と堅調だったが、海外医薬品は減収で、ロイヤリティ収入も大幅に減少。営業利益は赤字となったが、投資有価証券の売却などで最終利益は黒字を確保した。26年3月期の業績予想(売上高356億円、営業利益3億円の赤字)に変更はない。
杏林製薬(11月7日発表)

▽売上高 587億3100万円(前年同期比6.5%増)
▽営業利益 13億6300万円(12.0%減)
▽経常利益 15億8200万円(22.8%減)
▽純利益 14億9400万円(19.0%増)
過活動膀胱治療薬「ベオーバ」(123億円、17.5%増)や抗菌薬「ラスビック」(35億円、19.0%増)などが売り上げを拡大。後発医薬品も7.2%の増収となった。一方、開発品の導入に伴って研究開発費が増加し、利益は減った。26年3月期の業績予想は、売上高1270億円(前期比2.4%減)、営業利益61億円(51.5%減)の従来予想を据え置いた。
参天製薬(11月6日発表)

▽売上収益 1378億7900万円(前年同期比5.8%減)
▽営業利益 179億1500万円(25.0%減)
▽中間利益 139億4000万円(25.7%減)
4月発売の近視進行抑制薬「リジュセア」や5月発売の眼科用VEGF阻害薬「アイリーア」の高濃度製剤などが売り上げを伸ばしたものの、薬価改定や主力品への市場拡大再算定適用、長期収載品の選定療養の影響を受けた。リジュセアの国内売上収益は4億3300万円。26年3月期の業績予想は、従来の売上収益2940億円(前期比2.0%減)、営業利益440億円(6.1%減)を据え置いた。
エーザイ(11月5日発表)

▽売上収益 4000億1300万円(前年同期比3.9%増)
▽営業利益 344億1800万円(23.6%増)
▽税引前利益 369億3600万円(17.1%増)
▽中間利益 246億3000万円(13.5%増)
アルツハイマー病治療薬「レケンビ」の売上収益は411億円(152.6%増)。抗がん剤「レンビマ」(1665億円、1.0%増)や不眠症治療薬「デエビゴ」(291億円、15.0%増)など主要製品が売り上げを伸ばした。開発テーマの見直しや費用効率化、円高の影響で研究開発費が減少し、利益は大きく増加した。26年3月期の業績予想は、売上収益7900億円、営業利益545億円とした従来予想から変更はない。
旭化成(医薬・ライフサイエンス、11月5日発表)

▽売上高 1276億円(前年同期比12.4%増)
▽営業利益 286億円(100.2%増)
海外で販売する腎疾患治療薬「Tarpeyo」や、国内の主力製品である骨粗鬆症治療薬「テリボン」などが好調だった。26年3月期の業績予想は、売上高2520億円(従来予想比180億円増)、営業利益384億円(120億円増)に上方修正した。
帝人(ヘルスケア、11月5日発表)

▽売上収益 684億円(前年同期比1.3%減)
▽事業利益 71億円(31.2%増)
糖尿病治療薬や痛風・高尿酸血症治療薬「フェブリク」が売り上げを落とした一方、睡眠時無呼吸症候群の治療に使うCPAPのレンタル台数増加や事業構造改革による固定費削減によって大幅な増益となった。26年3月期の業績予想は、売上収益1350億円、事業利益125億円の従来予想を据え置いた。
ゼリア新薬工業(11月5日発表)
▽売上高 399億6000万円(前年同期比5.8%減)
▽営業利益 36億4100万円(43.6%減)
▽経常利益 26億5600万円(66.6%減)
▽純利益 17億3700万円(71.3%減)
一部地域で前年度の第4四半期に出荷が大幅に増えたことの反動や、製造委託先の設備の不具合によって潰瘍性大腸炎治療薬「アサコール」の供給が十分に受けられなかったことが響いた。委託先の設備は復旧し、供給はすでに正常化している。海外子会社のシステム投資などがかさみ、利益も大幅に減少した。26年3月期の業績予想は、売上高900億円、営業利益120億円の従来予想を据え置いた。
持田製薬(11月4日発表)

▽売上高 549億8500万円(前年同期比7.6%増)
▽営業利益 49億6700万円(31.0%増)
▽経常利益 51億7900万円(27.0%増)
▽純利益 38億5600万円(36.5%増)
潰瘍性大腸炎治療薬「リアルダ」が前年同期比7%増の80億円を売り上げたほか、慢性便秘症治療薬「グーフィス」(44億円、8%増)、同「モビコール」(35億円、11%増)などが売り上げを伸ばした。26年3月期の業績予想は、従来の売上高1105億円(前期比5.1%増)、営業利益70億円(13.9%減)を据え置いた。
キッセイ薬品工業(11月4日発表)
▽売上高 458億3100万円(前年同期比7.9%増)
▽営業利益 68億3700万円の赤字(前年同期は17億8100万円)
▽経常利益 56億2200万円の赤字(22億3700万円)
▽純利益 77億8400万円(48.3%増)
過活動膀胱治療薬「ベオーバ」(102億円、16.3%増)、顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症治療薬「タブネオス」(56億円、32.7%増)などが売り上げを伸ばしたものの、売上原価率の上昇や研究開発費の増加により営業利益と経常利益は赤字。投資有価証券売却益を特別利益に計上したことで純利益は大幅に増えた。26年3月期の業績予想は売上高955億円(従来予想比40億円増)、営業利益26億円の赤字(14億円増)に上方修正。好調な製品販売を反映した。
あすか製薬ホールディングス(11月4日発表)
▽売上高 352億5300万円(前年同期比8.9%増)
▽営業利益 26億4900万円(20.8%減)
▽経常利益 26億6000万円(19.7%減)
▽純利益 22億2600万円(13.0%減)
子宮筋腫・子宮内膜症治療薬「レルミナ」(57億円、5.2%増)や月経困難症治療薬「ドロエチ」(41億円、14.5%増)などの販売が好調だった一方、研究開発費の増加が利益を圧迫した。26年3月期の業績予想は、▽売上高710億円(従来予想比40億円減)▽営業利益60億円(8億円減)▽経常利益60億円(8億円減)▽純利益50億円(2億円減)――に下方修正。ベトナム子会社の一部売り上げの計上方法を変更したことで売上高予想は従来予想を下回り、研究開発費の増加が利益を押し下げる。
第一三共(10月31日発表)

▽売上収益 9753億5300万円(前年同期比10.5%増)
▽営業利益 1442億3700万円(22.8%減)
▽税引前利益 1632億1700万円(15.2%減)
▽中間利益 1308億1400万円(10.8%減)
抗HER2 抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」の製品売り上げは3184億円(21.9%増)。抗凝固薬エドキサバンも6.8%増の1860億円と好調だった。一方、前年同期に子会社の譲渡益を計上した反動に加え、抗HER3 ADCに関する製造委託先への損失補償などを一過性の費用に計上したことで利益は減少した。26年3月期の業績予想は売上収益2兆1000億円(従来予想比1000億円増)、営業利益3350億円(150億円減)に修正。ADCの売り上げが想定を上回って推移している一方、一過性の費用によって利益予想は引き下げた。税引前利益と当期利益は従来予想から一転して減益となる。
住友ファーマ(10月31日発表)

▽売上収益 2271億2200万円(前年同期比25.7%増)
▽営業利益 961億5700万円(前年同期は81億7900万円の赤字)
▽中間利益 988億6000万円(322億2900万円の赤字)
北米で販売する前立腺がん治療薬「オルゴビクス」(691億円、94.7%増)や過活動膀胱治療薬「ジェムテサ」(434億円、71.9%増)が好調で、アジア事業の譲渡益を計上したことで利益が大きく増えた。26年3月期の予想は、売上収益4290億円(従来予想比740億円増)、営業利益980億円(440億円増)に上方修正。北米の好調な製品販売とアジア事業譲渡益が想定を上回ったことなどを反映した。
武田薬品工業(10月30日発表)

▽売上収益 2兆2194億8100万円(前年同期比6.9%減)
▽営業利益 2535億6100万円(27.7%減)
▽税引前利益 1788億400万円(30.1%減)
▽中間利益 1124億4100万円(40.0%減)
主力の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンタイビオ」の売上収益は前年同期比1.3%増の4792億円。ADHD治療薬「ビバンセ」など複数の製品が後発医薬品の影響を受けて売り上げを落とした。細胞療法の研究開発中止に伴い減損損失を計上したことが利益を押し下げた。26年3月期の予想は、売上収益4兆5000億円(従来予想比300億円減)、営業利益4000億円(750億円減)に下方修正。エンタイビオの売り上げ予想を引き下げたほか、減損損失の計上が響く。
アステラス製薬(10月30日発表)

▽売上収益 1兆301億1400万円(前年同期比10.1%増)
▽営業利益 1993億7800万円(112.8%増)
▽税引前利益 1946億600万円(118.6%増)
▽中間利益 1476億3500万円(100.8%増)
主力の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の売上収益は4770億円(5.6%増)。抗がん剤「パドセブ」が前年同期比35.9%増の1025億円を売り上げたほか、地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療薬「アイザーヴェイ」(21.4%増の341億円)、更年期障害治療薬「VEOZAH」(54.7%増の229億円)など、その他の主要製品も大きく売り上げを伸ばした。新製品の抗がん剤「ビロイ」は266億円(前年同期は12億円)だった。主要製品の好調な販売を受け、26年3月期の業績予想は売上収益2兆300億円(従来予想比1000億円増)、営業利益2400億円(800億円増)に上方修正した。
小野薬品工業(10月30日発表)

▽売上収益 2571億3600万円(前年同期比7.0%増)
▽営業利益 520億6900万円(6.7%増)
▽税引前利益 521億7500万円(9.7%増)
▽中間利益 400億8900万円(7.1%増)
がん免疫療法薬「オプジーボ」の売り上げは6.5%減の585億円にとどまったものの、SGLT2阻害薬「フォシーガ」(488億円、11.6%増)が好調で、ロイヤリティ収入も増加した。26年3月期は従来予想の売上収益4900億円(前期比0.6%増)、営業利益850億円(43.3%増)を据え置いた。
JCRファーマ(10月30日発表)
▽売上高 213億6200万円(前年同期比28.2%増)
▽営業利益 23億7900万円(前年同期は7億3900万円の赤字)
▽経常利益 23億6200万円(16億2100万円の赤字)
▽純利益 17億1000万円(6億9100万円の赤字)
ムコ多糖症Ⅱ型治療薬「イズカーゴ」(34億円、17.9%増)の販売が好調で、契約金収入も増加した。26年3月期は従来予想の売上高378億円(前期比14.3%増)、営業利益26億円(前期は66億5000万円の赤字)を据え置いた。
塩野義製薬(10月27日発表)

▽売上収益 2129億6500万円(前年同期比0.5%減)
▽営業利益 747億7100万円(1.4%減)
▽税引前利益 983億8400万円(4.9%増)
▽中間利益 835億4200万円(0.5%増)
新型コロナウイルス感染症の流行の落ち着きにより抗ウイルス薬「ゾコーバ」の売り上げが減少し、国内医療用医薬品は前年同期比22.8%の減収。海外やロイヤリティ収入が伸びたものの、国内の減収を補えなかった。米国事業の販売関連費用や鳥居薬品の子会社化に伴う費用により営業利益も前年同期を下回った。26年3月期の業績予想は、▽売上収益5000億円(従来予想比300億円減)▽営業利益1850億円(100億円増)▽税引前利益2320億円(同)▽当期利益1880億円(80億円増)――に修正。国内医療用医薬品の減収により売上収益は従来予想を下回るが、費用削減とその他の収益の増加によって利益予想は引き上げた。





