
(写真:ロイター)
2026年9月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。
【新薬】筋萎縮を標的とするSMA薬Isembyldなど

がん
Etcamah|英アストラゼネカ
選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)「Etcamah」(一般名・camizestrant)は、「ESR1変異が検出されたHR陽性・HER2陰性の局所進行・転移性乳がん」の適応で迅速承認を取得しました。CDK4/6阻害薬(abemaciclibまたはpalbociclib、ribociclib)と併用します。対象は、アロマターゼ阻害薬やCDK4/6阻害薬による治療中にESR1変異が検出された患者。承認の根拠となった臨床第3相(P3)試験では、アロマターゼ阻害薬とCDK4/6阻害薬の併用療法に比べて病勢進行または死亡のリスクを56%減少させました。日本でも今年6月に承認されています。
Lyrfigtu|米エレバー・セラピューティクス
選択的FGFR2阻害薬「Lyrfigtu」(lirafugratinib)は、FGFR2融合遺伝子またはその他の再構成を有する切除不能な局所進行・転移性の胆管がん治療薬。治療歴のある患者が対象です。P1/2試験での確定奏効率は46%、奏功期間の中央値は11.8カ月でした。
精神・神経
Zanvastro|米アイオニス・ファーマシューティカルズ
「Zanvastro」(zilganersen)は、アレキサンダー病に対する疾患修飾薬。GFAP遺伝子の変異によって起こるまれな進行性の神経疾患で、運動機能や認知機能、自律神経機能などに影響を与えます。ZanvastroはGFAPの産生を抑える核酸医薬。2歳以上の患者を対象に行った臨床試験で、運動機能に臨床的に意義ある効果を示しました。米国以外の開発・販売権はイタリアのレコルダティが持っており、日本と欧州では27年中の申請を見込んでいます。
Juvmo|米アッヴィ
選択的D1/D5受容体作動薬「Juvmo」(tavapadon)はパーキンソン病治療薬。経口レボドパとの併用療法と単剤療法の両方を検証したP3試験では、併用療法でジスキネジアを伴わないオン時間を有意に延長し、単剤療法では日常生活動作や運動技能をプラセボと比べて有意に改善しました。
筋
Isembyld|米スカラー・ロック
「Isembyld」(apitegromab)は脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬。プロミオスタチンと潜在型ミオスタチンに結合してミオスタチンの活動を抑える抗体医薬で、筋萎縮を標的とするSMA治療薬は米国初。SMN2標的治療を受けている2歳以上の患者が対象です。SMN2標的治療への上乗せを検証したP3試験では、SMN2標的治療単独群と比べて運動機能を有意に改善しました。日本では今年9月に希少疾病用医薬品の指定を受けています。
代謝
Onswik|米イーライリリー
2型糖尿病治療薬「Onswik」(insulin efsitora alfa)は、週1回投与の基礎インスリン注射。臨床試験では、既存の1日1回投与のインスリン注射に対する非劣性が確認されました。日本でも今年9月に承認されています。
Fayuvi|米ウルトラジェニクス
「Fayuvi」(rebisufligene etisparvovec)は、小児のムコ多糖症IIIA型に対する遺伝子治療薬。同疾患はサンフィリッポ症候群A型とも呼ばれ、スルファミダーゼ(SGSH)酵素の欠損によって起こります。FayuviはSGSH遺伝子のコピーを誘導し、体内の細胞がSGSH酵素を産生できるように設計されています。
その他
Atebrioz|米インサイト
ALK2阻害薬「Atebrioz」(zilurgisertib)は、進行性骨化性線維異形成症(FOP)に伴う異所性骨化の総体積を減少させる治療薬。FOPはACVR1/ALK2の遺伝子変異で起こる疾患。ALK2の活性化によって筋肉や腱、靱帯などに骨が形成され、運動機能に支障をきたします。インサイトは米ミラムに全世界での開発・商業化権を供与しています。
Emcitate|スウェーデン・エゲティス・セラピューティクス
甲状腺ホルモン受容体作動薬「Emcitate」(tiratricol)は、MCT8欠損症に伴う末梢性甲状腺中毒症治療薬。MCT8欠損症は、脳などへ甲状腺ホルモンを運ぶために必要なたんぱく質の機能が損なわれるまれな遺伝性疾患。Emcitateは有効成分が輸送体に頼らず細胞内に入り込むことで、血中の甲状腺ホルモン濃度の上昇を抑える作用を持ちます。日本での開発・商業化権は藤本製薬が持っています。
【適応拡大】HyrnuoのHER2変異型NSCLCの1次治療など

がん
Ameluz|米バイオフロンテラ
「Ameluz」(aminolevulinic acid)は、表層型基底細胞がんに適応拡大。光線力学療法(PDT)と組み合わせて使用します。患者187人を対象に行ったP3試験で、主要評価項目である主標的病変の臨床的・組織学的完全奏効の複合指標でプラセボに対する優越性を示しました。
Hyrnuo|独バイエル
HER2阻害薬「Hyrnuo」(sevabertinib)は、局所進行または転移性のHER2変異型非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に適応拡大。P1/2試験の治療歴のない患者コホートでの客観的奏効率と奏功期間に基づき、迅速承認されました。現在、標準治療を対照群とするP3試験が進行中です。同薬は昨年11月、既治療のHER2変異型NSCLC患者を対象に迅速承認を取得。日本では8月に1次治療を含めて承認されています。
Inluriyo+Verzenio|米イーライリリー
経口SERD「Inluriyo」(imlunestrant)とCDK4/6阻害薬「Verzenio」(abemaciclib)の併用療法は、ER陽性・HER2陰性・ESR1変異を有する局所進行または転移性乳がんの適応で承認されました。少なくとも1種類の内分泌療法後に病気の進行が認められた患者が対象です。P3試験では、2剤の併用療法はInluriyo単独と比べて無増悪生存期間の中央値を2倍に延長しました。日本も同試験に参加しています。
Lenvima+Welireg|エーザイ/米メルク
エーザイのマルチキナーゼ阻害薬「Lenvima」(lenvatinib)と米メルクのHIF-2α阻害薬「Welireg」(belzutifan)の併用療法は、PD-1/PD-L1阻害薬治療後の進行性淡明細胞型腎細胞がんの治療として承認されました。P3試験では、対照群のカボザンチニブと比べて無増悪生存期間を有意に改善し、疾患進行または死亡のリスクを26%低減しました。日本でも申請中です。
循環器・代謝・腎
Kerendia|独バイエル
選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「Kerendia」(finerenone)は、1型糖尿病に伴う慢性腎臓病(CKD)に適応拡大しました。米国では1型糖尿病患者の約3割がCKDを発症しています。標準治療への上乗せを検証したP3試験で、6カ月時点の尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)をプラセボと比べて25%減少させました。
Gazyva|米ジェネンテック
抗CD20抗体「Gazyva」(obinutuzumab)は、2歳以上の特発性ネフローゼ症候群に適応拡大。P3試験では、Gazyvaと経口ステロイドとの併用療法投与群は、従来の治療法と比べて寛解維持とステロイド減量による治療負担軽減の可能性が示されました。日本でも同試験結果をもとに今年5月に申請が行われています。
Camzyos|米ブリストル・マイヤーズスクイブ
選択的心筋ミオシン阻害薬「Camzyos」(mavacamten)は、症候性閉塞性肥大型心筋症の適応で体重30kg以上の小児を対象に追加。44人の小児を対象としたP3試験の結果をもとに承認されました。成人に対しては米国で22年、日本で25年に承認されています。
その他
Joenja|オランダ・ファーミンググループ
PI3Kδ阻害薬「Joenja」(leniolisib)は、活性化PI3Kδ症候群の適応で体重27kg以上の4~11歳の小児を対象に追加しました。現在、体重13~27kg未満の患者に使用できる低用量製剤の申請も行っています。日本では今年8月、オーファンパシフィックが4歳以上の活性化PI3Kδ症候群治療薬として発売しました。
Olumiant|米イーライリリー
JAK阻害薬「Olumiant」(baricitinib)は、重症円形脱毛症の適応で12歳以上の小児を対象に追加しました。円形脱毛症は小児で重症化しやすい傾向があると知られています。日本でも今年6月に12歳以上の小児への適応拡大が承認されています。
【バイオシミラー】テバのdenosumab

Degevma|イスラエル・テバファーマシューティカルズ
「Degevma」は、抗RANKL抗体「Xgeva」(denosumab)のバイオシミラー。テバは今年3月、同じ有効成分の骨粗鬆症治療薬「Ponlimsi」(Proliaのバイオシミラー)の承認を取得しており、それに続く承認となりました。欧州でも承認済みです。
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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