
国内主要製薬企業7社の2026年4~6月期決算は、売上収益が前年同期比17.3%増、営業利益が29.0%増となりました。いずれも通期予想に対する進捗率は想定を上回っています。重点戦略製品が大きく売り上げを伸ばしたアステラス製薬や、M&Aで事業を拡大した塩野義製薬が牽引役となりました。
INDEX
小野薬品除く6社が増収
売上収益は計3兆788億円。SGLT2阻害薬「フォシーガ」の共同販促終了が響いた小野薬品工業を除く6社が増収です。4~6月期としては25年(0.5%増)、24年(14.1%増)を上回る高い伸び率となりました。

円安の影響も大きく、海外売上収益比率が9割を超える武田薬品工業は1182億円が上乗せ。決算上では10.2%増と2桁増収ですが、恒常為替レート(CER)では0.5%減になります。売上収益に対する円安の影響はアステラスが600億円、第一三共が419億円、エーザイが189億円などとなっており、軒並み業績を押し上げています。
各社とも海外を中心に主力品が好調に推移しています。なかでもがん領域の製品の伸びが目立ち、アステラスは重点戦略製品の「パドセブ」「ビロイ」「ゾスパタ」と最主力品の「イクスタンジ」で753億円の増収。第一三共は「エンハーツ」「ダトロウェイ」の抗体薬物複合体(ADC)2製品が477億円増え、全体の増収額のほぼ半分を占めました。同社は2製品の通期予想を上方修正しており、合計で1兆118億円と大台に達する見通しです。
エーザイの「レンビマ」は為替の影響を除くと4.3%ですが、EMEA(欧州・中東・アフリカ・ロシア・オセアニア)では同18.5%と貢献度を上げています。

塩野義63.7%増収
住友ファーマは、北米で販売する「オルゴビクス」のドルベース売上収益が4~6月期計画に対して達成率102%を確保。患者自己負担の制度変更が浸透し、新規患者数が着実に増加しています。通期では2000億円突破を予想しており、酒井基行副社長は「売上収益10億ドル達成に伴うマイルストン収入がより確実なものとなった」と話します。小野薬品は「オプジーボ」のロイヤリティ収入が55億円(18.9%)増の347億円となりました。
塩野義はM&Aで業績を一気に拡大。伸び率は63.7%と7社で最も高く、田辺ファーマから承継した米国エダラボン事業が242億円を計上しました。4~6月期としてはドルベースで過去最高の売り上げで、1~3月期に在庫をセーブした反動に加え、保険カバレッジの拡大で患者アクセスが改善されたことが販売増につながりました。国内では買収した鳥居薬品製品188億円が加わり、事業構造は大きく変化しています。
唯一、減収となった小野薬品は、前年同期に251億円あったフォシーガの売上収益を失いました。ただ、買収した米デサイフェラの消化管間質腫瘍治療剤「キンロック」と腱滑膜巨細胞腫治療剤「ロンビムザ」の販売やロイヤリティ収入は堅調で、全体として想定通りの進捗となっています。
アステラス、営業利益倍増
営業利益は7社合計で6115億円となり、進捗率は38.0%に達しています。ただ、企業によりばらつきが大きく、2社が減益でした。増収によって売上総利益が伸びた一方、研究開発費や販売管理費も増加しています。
アステラスは94.9%と前年同期の約2倍となり、武田薬品に迫っています。前年同期にあった減損損失がなくなったうえ、コスト最適化が進み販管費率が3.5ポイント改善しました。進捗率は46.7%と高く、7~9月期の状況を見て通期予想の上方修正を検討します。
売上収益でアステラスと競る第一三共は、欧州のスペシャリティビジネスユニットで事業再編費用が発生。4~6月期は12.0%の減益となりましたが、小田原工場への投資を中止したことで通期予想は50億円増の3200億円に修正しました。
住友ファーマも2桁減。アジア事業売却に伴う品目構成の変化によって利益率が低下したほか、販売促進費の増加が響きました。がん領域を中心に研究開発費もかさんでいます。通期予想に対する進捗率は7社で最も低い20.2%にとどまりますが、対中間期では60.6%まで進捗。下期にはマイルストン収入を見込みます。
エーザイ、利益回復の兆し
エーザイは営業利益率が10.6%と2桁台を確保しました。通期では過去6年、5~8%台で推移しています。27年3月期予想は7.9%ですが、進捗率は35.3%と回復の兆しがうかがえます。
今期から塩野義が開示を始めたことで、7社のコア営業利益がそろいました。4~6月期は計8416億円となり、フルベースの6115億円を2300億円、率にして38%程度上回ります。武田薬品はフルベースの2014億円に対してコアベースは3589億円と、実質的な稼ぐ力はより高いことが分かります。
コア営業利益率が最も高いのは44.4%の塩野義。アステラスは30%の通期目標に対して4~6月期は34.5%に達しています。小野薬品の33.3%もフルベース(26.4%)を7ポイント近く上回ります。コアベースの定義は各社で異なるものの、本業の実質的な収益力は高いレベルを維持しているといえそうです。
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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