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12月期決算の製薬3社、1~6月期はそろって2桁の増収増益…大塚HDが通期予想上方修正、中外も前年上回る進捗

更新日

穴迫励二

12月期決算の国内製薬企業3社の2026年1~6月期決算は、各社とも売上収益と営業利益が前年同期比2桁増となりました。通期予想に対する進捗は想定通りかそれを上回って推移しています。円安も追い風に海外事業が拡大し、主力品の売り上げやロイヤリティ収入が増加。足元の好業績を背景に、開発パイプラインや新製品育成に積極投資する姿勢もうかがえます。

 

 

売上収益は13.5%増、グローバル品好調

3社の売上収益は計2兆2594億円で、前年同期比13.5%増。為替が円安に振れたことで、グローバル製品の貢献が目立ちます。

 

為替の影響は、最も大きかった大塚ホールディングス(HD)で634億円、協和キリンでも126億円の増収効果がありました。大塚HDは円安を受け通期の想定レートを1ドル=150円から158円に、1ユーロ=175円から185円に修正しています。海外売上高比率はいずれも拡大する傾向にあり、中外製薬は前年同期の61%から64%に、協和キリンも73%から78%へと上昇しました。

 

【12月期決算の製薬3社 1~6月期業績への為替影響額】|〈社名/売上収益/営業利益/想定レート(USD期初)/想定レート(USD修正)/想定レート(EUR期初)/想定レート(EUR修正)〉大塚HD/634億円/158億円/150円/158円/175円/185円|中外製薬/269億円/198億円/151円/-/179円/-|協和キリン/126億円/56億円/150円/-/180円/-|※各社の決算発表資料をもとに作成

 

1~6月期の売上収益は大塚HDが12.9%増ですが、医療関連事業に限ると14.1%増。進捗率は48.9%にとどまりますが、これは通期予想を2050億円上方修正したためで、米国で後発医薬品V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」の減収をカバーしながら成長を続けています。

 

中外製薬は主力品の国内販売だけでなく、血友病A治療薬「ヘムライブラ」のロシュ向け輸出が拡大するなどして14.7%の増収。スイス・ガルデルマに導出したアトピー性皮膚炎などの治療薬「ネムルビオ」のロイヤリティ収入も大幅に増加しました。進捗率は49.3%ですが、同社の売り上げは下期に大きくなる傾向があり、前年同期の46.0%と比べると3ポイント以上上回っています。

 

協和キリンは、抗OX40抗体ロカチンリマブ(一般名)の共同開発終了に伴う前払い金(アップフロント)の一括計上が寄与しました。20%増となった抗がん剤「ポテリジオ」は、営業体制の強化に加え、AIを活用したプロモーションが成果を上げたといいます。

 

【12月期決算の製薬3社 26年1~6月期業績】単位:百万円、%|〈社名/売上収益2Q実績/売上収益前年同期比/売上収益通期予想/売上収益進捗率/営業利益2Q実績/営業利益前年同期比〉大塚HD/1,332,390/12.9/2,725,000/48.9/278,544/15.0|中外製薬/663,331/14.7/1,345,000/49.1/319,623/16.9|協和キリン/263,629/14.3/520,000/50.7/66,149/79.6|計/2,259,350/13.5/4,590,000/49.2/664,316/20.3|※協和キリンの営業利益はコアベース。各社の決算発表資料をもとに作成

 

大塚「ボイザクト」計画上回る立ち上がり

大塚HDと中外は新製品の成長にも期待します。25年に米国で発売した大塚HDのIgA腎症治療薬「ボイザクト」は、60億円の計画に対して3倍近い170億円を計上。1000億円への到達目標を1年前倒しの27年に再設定しました。臨床第3相(P3)試験の24カ月のデータでは、長期的な腎機能の改善を示唆する結果が得られており、同社は「疾患修飾薬としての可能性を裏付けるもの」と強調。次期主力品としての存在感を急速に高めています。

 

【大塚HD ボイザクトの売上収益】単位:億円|〈区分/売上収益〉2Q実績/171|通期予想(期初)/250|通期予想(修正)/600|※大塚HDの決算発表資料をもとに作成

 

中外は、4月に肥満症治療薬として米国で承認された経口GLP-1受容体作動薬オルホルグリプロン(一般名、米国製品名・ファウンデヨ)のロイヤリティ計上がスタート。立ち上がりは市場を席捲するほどではないものの、経口で食事に関わる制限もないことから確実な市場浸透を見込んでいます。ネムルビオはガルデルマの26年上半期売上収益が4億3300万ドルに達し、結節性痒疹の適応では新規患者シェア42%を獲得。ロイヤリティ収入や輸出における存在感を高めています。

 

パイプラインでは今年、新薬と適応追加で過去最多となる16の申請を見込んでいます。ヘムライブラの後継品として開発中の「NEXT-007」は28年の承認申請に向けてP3試験に入りました。

 

【中外製薬 1~6月期売上収益の内訳】単位:億円|〈区分/26年/25年〉海外/4251/3540|国内/2383/2244|※中外製薬の決算発表資料をもとに作成

 

営業利益は20.3%増、協和キリン大幅増益

営業利益は3社で20.3%増。営業利益率は29.4%と高水準です。ここにも円安効果が出ており、海外製品売上収益やロイヤリティ収入の押し上げが2桁増収に寄与しました。営業利益をコアベースで開示する協和キリンは、ロカチンリマブの臨床試験中止に伴う研究開発費の減少もあって79.6%の大幅増となりました。

 

大塚HDは、注意欠如/多動症治療薬「シントリオ」の米国承認やボイザクトの発売で販売管理費が増加。新薬候補の研究開発費もかさみましたが、それらを吸収して15%増を確保しました。進捗率は上方修正後の予想に対しても59.4%に達しています。営業利益率が突出して高い中外は、通期でも50%近い水準を確保する見込みです。

 

各社とも足元の好業績を将来のパイプラインや新製品育成に積極的に投資し、30年代を見据えた成長基盤の構築を急いでいます。大塚HDは35年に売上収益3.5兆円を掲げ、協和キリンは30年代前半にコア営業利益30%を目指しています。

 

中外は手元資金が9600億円まで積み上がっており、これを成長にどう活用していくかが焦点の1つ。7月1日には、投資戦略立案と案件推進を主導する「戦略投資部」を新設しており、M&Aや出資といった投資の実行体制を強化します。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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