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どう開き、どう守るのか…研究にも「安全保障」が求められる時代になったらしい【コラム】

更新日

黒坂宗久

このコラムではこれまで、基礎研究支援の重要性について何度か書いてきました。昨年11月にもこんなコラムを書いています。

 

何度でも繰り返し訴えたい「基礎研究の大切さ」(2025年11月28日)

 

一方で最近、日経新聞の記事で「研究安全保障」という言葉を目にしました。そもそも安全保障という言葉の意味を調べてみると「国外からの攻撃や侵略に対して国家の安全を保障すること。また、その体制」とあります。日経の記事によると、研究安全保障という言葉は、国の経済活動の観点から研究成果を保護したり技術情報の流出を防いだりする政策や取り組みを指すそうです。初めて見る言葉でしたが、確かにそうだよなと思いました。

 

機密情報の保護や技術の流出防止はもちろん重要です。それはそれとして、研究安全保障という言葉が出てきていること自体、研究の位置付けが変化してきていることを示しているように感じます。

 

研究は「開かれている」ことが原則だと私は思っています。研究は国境を越えた連携や協力のなかで進むものとして語られることが多いと思いますし、それは私も非常に大事なことだと考えています。

 

一方で、半導体、AI、量子、バイオなど、研究成果がそのまま産業競争力や経済安全保障に結び付くような領域が広がっていることも否めません。「できるだけ開く」と同時に「何をどう守るか」を考えなければならなくなってきているのだろうと想像しています。

 

大きな社会的・経済的意味を持つようになったからこそ

これを単なる「制約」とみるべきなのでしょうか。

 

私は、研究がそれだけ大きな社会的・経済的意味を持つようになったことの裏返しだと考えています。研究が国家や産業の将来を左右するほど重要なものになったからこそ、保護が求められているように見えます。研究はもはや研究室の中だけで完結する営みではなくなったと捉えると、研究安全保障の意味も理解しやすいと思います。

 

とはいえ、開放か保護かという二項対立で考えるのは短絡的で、良い結果に結びつかないように思います。答えは「開く」と「守る」の間にあるはずで、そのバランスや信頼性・透明性の担保、そのための制度、運用、人材、リテラシーの整備といったことが問われているのだろうと感じます。

 

それほど重要なものなのであれば、やはり国はもっと研究そのものや研究環境の整備に投資をしてほしいものです。それもまた、重要技術の研究開発を促し、人材や技術の海外流出を防ぐ手段の1つとなるはずです。

 

※コラムの内容は個人の見解であり、所属企業を代表するものではありません。

 

黒坂宗久(くろさか・むねひさ)Ph.D.。アステラス製薬アドボカシー部所属。免疫学の分野で博士号を取得後、約10年間研究に従事(米国立がん研究所、産業技術総合研究所、国内製薬企業)した後、 Clarivate AnalyticsとEvaluateで約10年間、主に製薬企業に対して戦略策定や事業性評価に必要なビジネス分析(マーケット情報、売上予測、NPV、成功確率、開発コストなど)を提供。2023年6月から現職でアドボカシー活動に携わる。SNSなどでも積極的に発信を行っている。
X:@munehisa_k
note:https://note.com/kurosakalibrary
LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/mkurosaka/

 

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