
「ジャスミン」の販売提携を発表したマルホの杉田淳社長(左)とJ-TECの山田一登社長
皮膚科領域を得意とするマルホが、取り扱う製品のモダリティ拡大に乗り出します。10月29日にジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)が製造販売する自家培養表皮「ジャスミン」の共同販促契約を締結。約400人のMRが初めて再生医療製品のプロモーションを手掛けます。
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中外からは抗体導入
「皮膚科学領域のスペシャリティファーマ」を標榜するマルホは、血行促進・皮膚保湿剤「ヒルドイド」をはじめとする低分子薬を主体に事業展開してきました。ただ、「(皮膚科領域には)解決できないアンメットニーズが多くある」(杉田淳社長)ことから、守備範囲を広げる機会をうかがってきました。近年は、中外製薬が創製したアトピー性皮皮膚炎治療薬「ミチーガ」を開発・販売し、抗体医薬も手掛けています。
ジャスミンが適応とする白斑は、皮膚に存在する色素細胞(メラノサイト)の消失や減少によって、皮膚の色が白く抜ける疾患。日本の患者数は15万人程度と推計されます。そのうちジャスミンを使用できるのは、非外科的療法(外科療法や光線療法)が無効または適応とならない12歳以上の患者。症状が12カ月程度固定していることも条件となり、全国で約2000人が対象になるとみられます。
2024年10月に発売されたジャスミンは、移植手術にあたり経験豊富な医師の常勤を求めるなど施設基準が定められています。そのため一般的なクリニックのレベルでは使用が難しく、患者を各地域の皮膚科から専門施設につなげることが必要です。しかし、J-TECの人員体制だけではスムーズに移行できる流れを構築できず、皮膚移植による治療に対する認知も十分に浸透していませんでした。
J-TECにとってマルホとの提携は、自社単独では難しかった医療機関や患者への情報提供を加速し、皮膚科領域のネットワークを活用した病診連携を進めるのが狙いです。これにより安定供給を確保しつつ、専門施設における施術に向けた院内調整などの支援体制を強化します。
白斑への参入「将来に向けた重要な一歩」
ジャスミンによる治療実績は25年度で年20例にとどまっていますが、「数年以内に年100例以上の定常的な達成を目指す」(山田一登社長)としています。マルホは全国約1万人の皮膚科医に情報提供しており、疾患啓発のノウハウも評価して提携先に決めました。
マルホの業績は20年以降、売上高1000億円をうかがう規模が続いていました。しかし、24年10月から始まった長期収載品に対する選定療養の導入で、主力品だったヒルドイドの後発医薬品への置き換えが加速。25年9月期決算では売上高、営業利益とも前期を大きく下回りました。

今回の提携ではJ-TECから共同販促収入を得ることになりますが、それ自体は業績に大きなインパクトがあるわけではありません。当面の目標である年100例の治療が実施された場合でも、J-TECの売り上げは4億円強にとどまります。ただ、杉田社長は社内で検討を重ねてきた白斑という疾患への市場参入を「将来に向けた非常に重要な一歩」と位置付ており、塗り薬中心の事業活動からの転換を図ります。
同社は新年度となる10月から「長期ビジョン2036」をスタートさせました。同ビジョンには取り扱うモダリティの範囲拡大や計数目標を盛り込んでおり、今後さまざまな提携機会を模索していく考えです。







