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【2025年国内医薬品売上高トップ10】キイトルーダ、2000億円突破で2年連続首位…2位リクシアナ、3位はデュピクセント

更新日

穴迫励二

2025年国内医療用医薬品の製品別売上高トップは、2年連続でMSDのがん免疫療法薬「キイトルーダ」だったことが、調査会社エンサイスの月間スナップショットで明らかになりました。売上高(薬価ベース)は前年比19%増の2207億円で、2000億円を突破したのは16年のC型肝炎治療薬「ハーボニー」以来。上位10製品はすべて1000億円を超え、慢性心不全・高血圧症治療薬「エンレスト」(ノバルティス ファーマ)と糖尿病治療薬「マンジャロ」(日本イーライリリー)が新たにランクインしました。

 

 

2000億円超えはハーボニー以来

10製品の売上高合計は前年比8%増の1兆3108億円。25年の市場は全体で1桁台前半の低成長が予想されており、上位集中度は高まっています。企業別では外資が7製品、内資は3製品。アストラゼネカは3製品がランクインしました。

 

【2025年 医療用医薬品売り上げ上位10製品】〈順位(矢印は前年からの変動。上昇↑、下方↓、横ばい→)/ブランド名/企業名/売り上げ金額(億円)/前年比(%)〉 |1位→/キイトルーダ/MSD/2,207億円/19% |2位→/リクシアナ/第一三共/1,622億円/10% |3位↑/デュピクセント/サノフィ/1,287億円/9% |4位↓/オプジーボ/小野薬品工業/1,287億円/▲11% |5位↓/タケキャブ/武田薬品工業/1,253億円/4% |6位↑/エンレスト/ノバルティスファーマ/1,160億円/45% |7位↓/タグリッソ/アストラゼネカ/1,137億円/3% |8位→/フォシーガ/アストラゼネカ/1,082億円/8% |9位↑/マンジャロ/日本イーライリリー/1,052億円/281% |10位↓/イミフィンジ/アストラゼネカ/1,020億円/▲6% |上位10製品計/13,108億円/8% |※エンサイスの月間スナップショットをもとに集計。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連薬および再生医療等製品等は除く

 

トップのキイトルーダは今年に入ってすべて月で150億円以上の売り上げを記録、10月には211億円に達しました。同薬は17年の発売から現在まで29の適応を取得。25年には「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」と「HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」という2つの適応が承認され、なお72の臨床試験が日本で進行中です。

 

処方拡大の要因についてMSDは、肺がんや腎細胞がんなど既存の適応症が堅調だったことに加え、「胃がん、胆道がん、切除可能非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法、尿路上皮がん1次治療といった24年に取得した適応症が継続的に成長した」としています。

 

【キイトルーダ 2025年の月別売上高】〈月/売上高(億円)〉 |1月/約160億円 |2月/約160億円 |3月/約155億円 |4月/約195億円 |5月/約175億円 |6月/約190億円 |7月/約195億円 |8月/約190億円 |9月/約195億円 |10月/約210億円 |11月/約180億円 |12月/約210億円 |※エンサイスの「月間スナップショット」から

 

オプジーボは4位にダウン

売上高が2000億円を超えたのは過去最高を記録したハーボニー(2960億円)以来ですが、同薬は多くの患者で完治を可能にするするため、患者数の減少によって数年で製品生命を終えています。キイトルーダの日本での主要な特許は32年まで有効で、さらに適応を追加し、他剤との併用も広げることで今後も売り上げを伸ばしそうです。

 

免疫チェックポイント阻害薬はこのほかにも「オプジーボ」(小野薬品工業)と「イミフィンジ」(アストラゼネカ)がランクインしましたが、いずれも金額と順位を落としました。前年10位の「テセントリク」(中外製薬)はトップ10圏外となり、キイトルーダ一人勝ちの様相を呈しています。2月には持続可能性特例価格調整(特例拡大再算定)で薬価が7%引き下げられますが、それでも勢いは持続しそうです。

 

マンジャロ3.8倍、エンレストは45%増

2位は前年に続いて第一三共の抗凝固薬「リクシアナ」。10%増の1622億円を売り上げました。直接作用型経口抗凝固薬(NOAC)4剤の中でのシェアは25年4~8月で59.6%と圧倒的で、前年同期の48.9%から10ポイント以上高めています。同社の国内医療用事業の約3割を占める最主力品です。

 

ただ、4月の薬価改定では特例価格調整の適用を受けます。「年間販売額1500億円超、基準年間販売額の1.3倍以上」の基準に該当するとされ、10~50%の範囲内で薬価が引き下げられます。薬価の下落をシェア拡大の勢いでどこまで吸収できるでしょうか。

 

3位に浮上した「デュピクセント」は、アトピー性皮膚炎を皮切りに気管支喘息や慢性副鼻腔炎など適応症を6つまで拡大しており、水疱性類天疱瘡でも申請中です。25年は9%増の1287億円まで伸ばしましたが、サノフィは適応追加による今後の成長力に自信を深めています。同社のドルミー・キム研究開発部門長は昨年5月の業績発表会見で、近い将来、5~10の適応追加を期待していると語り、30年までに処方患者数は倍増するとの見通しを示しました。

 

マンジャロ、12月単月では3位

前年のトップ10圏外から6位に急上昇したエンレストは、前年比45%増の1160億円と大幅に伸びました。慢性心不全の小児適応を追加し、昨年4月の薬価改定で10%の加算が認められたことも要因ですが、ノバルティスは「高血圧管理・治療ガイドライン2025」で降圧目標が統一されたことにより治療強化が進んでいることや、慢性心不全患者の増加で処方機会が広がったことを挙げています。同薬も今年4月の改定で特例価格調整を受けることになっており、「1000億円超、1.5倍以上」の基準に該当したとして10~25%引き下げられます。

 

GLP-1/GIP受容体作動薬マンジャロは、売上高を前年から3.8倍に拡大し、一気に9位に顔を出しました。同薬は23年4月の発売直後から供給が需要に追いつかず出荷を制限。しかし、通常の体制に戻った24年6月からは、体重減少効果も期待され爆発的な伸びが続いています。

 

【マンジャロの四半期売上高】〈期間(年/月)/売上高(億円)〉 |2024/1-3/約20億円 |2024/4-6/約50億円 |2024/7-9/約80億円 |2024/10-12/約125億円 |2025/1-3/約155億円 |2025/4-6/約225億円 |2025/7-9/約285億円 |2025/10-12/約380億円 |※売上高は薬価ベース。旧田辺三菱製薬の決算発表資料など各種データから集計

 

エンサイスデータでは12月単月で132億円を売り上げ、キイトルーダとリクシアナに次ぐ3位まで上昇。薬価収載時のピーク時売上高予想367億円をすでに大きく超えており、特例価格調整の適用も視野に入ります。ただ、ダイエット目的での使用も多いとみられ、適正使用の徹底があらためて議論になりそうです。

 

※売上高はエンサイス株式会社の月間スナップショットを引用<転載禁止>

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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