アステラス、今期売上収益1000億円上振れ/協和キリン、独ベーリンガーに自己免疫疾患薬導出 など|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2025年10月30日)
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AnswersNews編集部

アステラス、今期売上収益1000億円上振れ…業績予想を上方修正
アステラス製薬は10月30日、2026年3月期の業績予想を上方修正したと発表した。修正後の予想は▽売上収益2兆300億円(従来予想比1000億円増)▽営業利益2400億円(800億円増)▽税引前利益2300億円(同)▽当期利益1800億円(500億円増)――。抗がん剤「ビロイ」「パドセブ」の売り上げが拡大し、同「イクスタンジ」も好調を維持。全社レベルで行っているコスト最適化の取り組みも業績を押し上げる。
協和キリン、独ベーリンガーに自己免疫疾患薬候補を導出
協和キリンは10月30日、前臨床段階にある自己免疫疾患向け低分子治療薬候補を独ベーリンガーインゲルハイムに導出するライセンス契約を結んだと発表した。全世界の独占的権利を供与し、対価として一時金、開発・承認・販売のマイルストン、売り上げに対するロイヤリティを受け取る。対価の総額は最大で6億4000万ユーロ(約1141億円)。化合物の詳細は明らかにしていないが、自己免疫疾患のアンメットニーズに対応するファーストインクラスの薬剤になる可能性があるという。
武田薬品、業績予想を下方修正
武田薬品工業は10月30日、2026年3月期の業績予想を下方修正したと発表した。修正後の予想は▽売上収益4兆5000億円(従来予想比300億円減)▽営業利益4000億円(750億円減)▽税引前利益2430億円(640億円減)▽当期利益1530億円(750億円減)――。炎症性腸疾患治療薬「エンタイビオ」の売り上げ予想を修正したほか、ADHD治療薬「ビバンセ」の後発医薬品による減収影響が想定を上回っていることを反映。細胞療法の研究開発中止に伴う減損損失が利益に響く。
Meijiとダイトのコンソーシアム、22成分56品目の生産集約検討
MeijiSeikaファルマとダイトは10月30日、両社が進める後発医薬品企業によるコンソーシアム構想で、22成分56品目の生産集約に向けて協議を進めていることを明らかにした。このうち23品目は中止代替(一方の製品を販売中止し、もう一方の製品で代替供給)、33品目はそれぞれ製造していた品目を一方の製造所に統合することを検討している。構想には両社のほか、辰巳化学、日本ケミファ、社名非公表の数社が参画している。
MSD「キイトルーダ」再発卵巣がんへの適応拡大申請
MSDは10月30日、抗PD-1抗体「キイトルーダ」(一般名・ペムブロリズマブ)について、再発卵巣がんへの適応拡大を申請したと発表した。申請は、白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣がんを対象に化学療法との併用を評価した臨床第3相(P3)試験の結果に基づく。
ステラファーマ、BNCT用加速器導入へ住友重工と契約
ステラファーマは10月30日、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用加速器の国内医療機関への導入に向け、住友重機械工業とパートナーシップ契約を結ぶことで合意したと発表した。マーケティング活動や提案活動を共同で行うなどし、BNCTの普及につなげる。
MOLCURE、富士フイルムとペプチド探索技術の共同研究
MOLCURE(川崎市)は10月30日、富士フイルムとペプチド探索技術に関する共同研究契約を結んだと発表した。MOLCUREのAI創薬プラットフォームと、富士フイルムのmRNAディスプレイ法を用いた非天然アミノ酸を含む特殊環状ペプチドの探索技術を組み合わせ、ペプチド探索技術を効率化・高性能化。標的タンパク質に高い結合性を持つペプチドの創出につなげる。
決算
武田薬品工業(2025年4~9月期)
▽売上収益2兆2194億8100万円(前年同期比6.9%減)▽営業利益2535億6100万円(27.7%減)▽税引前利益1788億400万円(30.1%減)▽中間利益1124億4100万円(40.0%減)――。主力の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンタイビオ」の売上収益は前年同期比1.3%増の4792億円。ADHD治療薬「ビバンセ」など複数の製品が後発医薬品の影響を受けて売り上げを落とした。細胞療法の研究開発中止に伴い減損損失を計上したことが利益を押し下げた。26年3月期の予想は、売上収益4兆5000億円(従来予想比300億円減)、営業利益4000億円(750億円減)に下方修正。エンタイビオの売り上げ予想を引き下げたほか、減損損失の計上が響く。
アステラス製薬(2025年4~9月期)
▽売上収益1兆301億1400万円(前年同期比10.1%増)▽営業利益1993億7800万円(112.8%増)▽税引前利益1946億600万円(118.6%増)▽中間利益1476億3500万円(100.8%増)――。主力の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の売上収益は4770億円(5.6%増)。抗がん剤「パドセブ」が前年同期比35.9%増の1025億円を売り上げたほか、地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療薬「アイザーヴェイ」(21.4%増の341億円)、更年期障害治療薬「VEOZAH」(54.7%増の229億円)など、その他の主要製品も大きく売り上げを伸ばした。新製品の抗がん剤「ビロイ」は266億円(前年同期は12億円)だった。主要製品の好調な販売を受け、26年3月期の業績予想は売上収益2兆300億円(従来予想比1000億円増)、営業利益2400億円(800億円増)に上方修正した。
小野薬品工業(2025年4~9月期)
▽売上収益2571億3600万円(前年同期比7.0%増)▽営業利益520億6900万円(6.7%増)▽税引前利益521億7500万円(9.7%増)▽当期利益400億8900万円(7.1%増)――。がん免疫療法薬「オプジーボ」の売り上げは6.5%減の585億円にとどまったものの、SGLT2阻害薬「フォシーガ」(488億円、11.6%増)が好調で、ロイヤリティ収入も増加した。26年3月期は従来予想の売上収益4900億円(前期比0.6%増)、営業利益850億円(43.3%増)を据え置いた。
JCRファーマ(2025年4~9月期)
▽売上高213億6200万円(前年同期比28.2%増)▽営業利益23億7900万円(前年同期は7億3900万円の赤字)▽経常利益23億6200万円(16億2100万円の赤字)▽当期利益17億1000万円(6億9100万円の赤字)――。ムコ多糖症Ⅱ型治療薬「イズカーゴ」(34億円、17.9%増)の販売が好調で、契約金収入も増加した。26年3月期は従来予想の売上高378億円(前期比14.3%増)、営業利益26億円(前期は66億5000万円の赤字)を据え置いた。





