
東証プライム市場に上場する主要製薬企業27社の2024年度末の従業員数が、単体ベースで前年度比3.1%減となったことが分かりました。24年度は内資系企業で早期退職が相次ぎ、住友ファーマや武田薬品工業、アステラス製薬が大幅に減少。経年比較可能な23社の単体従業員数の減少幅は、過去10年で2番目に大きい値となりました。
武田16%減、アステラス15%減
集計対象としたのは、2024年4月から25年3月に本決算を迎えた東証プライム上場製薬企業27社。各社の有価証券報告書から、単体と連結の従業員数を集計しました。

27社の24年度末の単体従業員数は計5万5838人で、前年度から3.1%(1809人)減少。連結は18万8408人で0.4%(662人)減でした。
単体従業員数の減少が最も大きかったのは、38.1%(1109人)減の住友ファーマ。24年度末時点の単体従業員数は1799人となり、前年度の2908人から大きく減少しました。同社では、経営再建に向けて24年9~10月に行った早期退職者の募集に604人が応募。再生・細胞医薬事業を親会社である住友化学との合弁会社RACTHERAに移したことも影響しました。
武田薬品工業とアステラス製薬も2桁の人員減となりました。武田薬品は、国内事業を所管するジャパンファーマビジネスユニットと国内研究開発組織を対象に行った希望退職者の募集に約680人が応募。24年度末の単体従業員数は前年度から16.3%(939人)減少しました。アステラスも国内営業を対象に早期退職者の募集を行った結果、14.6%(701人)減となりました。
田辺三菱は2割減
24年度はこれら3社のほか、協和キリンと田辺三菱製薬などが早期退職を実施。研究部門を対象に早期退職者を募集した協和キリンは1.7%(69人)の減少でした。田辺三菱製薬は非上場のため集計に含めていませんが、三菱ケミカルグループの有価証券報告書によると同社ファーマセグメントの従業員数(=田辺三菱の連結従業員数)は19.5%(1087人)減少。同社は「田辺三菱での希望退職の実施によるもの」としています。
単体ベースで従業員数が増えたのは、生化学工業(14.5%増)、第一三共(7.5%増)、参天製薬(4.8%増)など。第一三共は15年度以降、9年連続の人員増です。
連結ベースでは、住友ファーマが国内での早期退職実施を背景に23.1%(1148人)減少。アステラスは7.5%(1111人)、協和キリンは5.1%(305人)、武田薬品は3.7%(1826人)の減少でした。
一方、あすか製薬ホールディングス(HD)は、ベトナムの製薬企業Ha Tay Pharmaceutical Joint Stock Companyを連結子会社化したことで114.2%(870人)増加。米デサイフェラ・ファーマシューティカルズを買収した小野薬品工業も、連結従業員数が11.3%(434人)増えました。
ピークの13年度から11%減
集計対象の27社から純粋持株会社3社と23年4月に事業持株会社化した杏林製薬を除く23社の単体従業員数は、ピークだった13年度から11.1%(6785人)減少。22年度は一時的に増加したものの、23年度以降は再び減少に転じ、24年度は19年度に次いで2番目に大きい減少幅となりました。

23社を24年度末時点の単体従業員数で▽3000人以上▽1000~2999人▽999人以下――に分けて見てみると、13年度を100とした場合の24年度の単体従業員数は、3000人以上の企業群で92.8、1000~2999人で82.2、999人以下で107.5となります。3000人以上の企業は22年度、23年度と2年連続で増加しましたが、24年度は再び減少。1000~2999人の企業はほぼ毎年減少しています。999人以下の企業は4年連続で増加しており、13年度の水準を上回っています。
減少が著しい1000~2999人の企業群には、エーザイ、塩野義製薬、住友ファーマ、参天製薬などが含まれます。13年度と比べると、住友は約6割、塩野義は約5割減っており、エーザイも4分の3の規模に縮小しました。
3000人以上の企業群でも、アステラスや武田薬品が13年度から3割近く減少しています。




 
				


 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
								 
								
 
											 
											 
											 
											 
											


