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12月期決算の製薬3社、そろって過去最高業績…グローバル製品が売り上げ拡大

更新日

穴迫励二

2025年12月に決算期を迎えた製薬企業3社が、いずれも過去最高の業績を記録しました。各社とも海外事業の拡大で売り上げと利益が伸長。一部に為替の影響があったものの、主力品が予想から上振れするケースが目立ちました。

 

 

大塚HD、ジンアーク特許切れも7.1%増収

売上収益は3社あわせて4兆2237億円で、前期比5.7%増となりました。

 

 

大塚ホールディングス(HD)は、全社の売上収益2兆4689億円(前期比6.0%増)のうち、医薬品を中心とする医療関連事業が1兆7442億円(7.1%増)。22年から24年にかけて2桁成長を続けてきたなか、利尿薬「ジンアーク」への後発医薬品参入がブレーキとなりましたが、主力の抗精神病薬「レキサルティ」が23.9%増の3313億円まで拡大し、増収を確保しました。同薬は26年も3680億円とさらなる販売増を見込みます。

 

中外製薬の売上収益は9期連続して期初予想を上回っての着地となりました。円安(主に対スイスフラン)による増加分が496億円あり、関節リウマチなどの治療薬「アクテムラ」と血友病治療薬「ヘムライブラ」のロシュ向け輸出が貢献。海外売上高は12.8%増で、国内の2.5%増を大きく上回りました。国内では視神経脊髄炎スペクトラム障害治療薬「エンスプリング」や加齢黄斑変性などの治療薬「バビースモ」が伸びています。

 

協和キリンは期初に減収を予想していましたが、0.3%増とわずかながら増収を確保。くる病治療薬「クリースビータ」や抗がん剤「ポテリジオ」がともに2桁成長し、国内の減収を補いました。26年も2剤は引き続き2桁増を計画。買収により獲得した異染性白質ジストロフィー治療薬「リブメルディ/レンメルディ」は36億円増の100億円を予想します。

 

中外、コア営業利益率49.5%に

利益の開示は各社各様です。各段階で過去最高益となった大塚HDは、フルベースの営業利益が48.2%増の4794億となったほか、コア営業利益に近い概念として重視する事業利益が3.6%増の4461億円に到達。売上収益に対してはそれぞれ19.4%、18.1%となりました。今期は次世代成長品への投資や後発品の市場浸透などでともに20%を超える減益となりますが、28年までの中期経営計画の公表値は上回っています。

 

中外製薬はフルベースの営業利益が10.5%増の5988億円。コアベースでは12.1%増の6232億円となり、9期連続の増益を達成しました。業界トップのコア営業利益率はこの2年間でさらに上昇しており、25年は製品構成の変化による原価率改善などで前期比2ポイント増の49.5%に到達。26年は49.8%を見込み、50%台をうかがう勢いです。フルベースで見ても25年は47.6%で、極めて高い収益性を誇ります。

 

 

協和キリンの営業利益はコアベースのみでの開示。25年は8.0%増の1031億円となりました。期初は減益予想でしたが、グローバル製品の増収や販管費・研究開発費の減少により、一転して過去最高益となりました。ただ、コア営業利益の定義を変更した26年は8.9%減の1000億円を予想。アトピー性皮膚炎治療薬ロカチンリマブ(一般名)の開発・商業化に関する米アムジェンとの提携を解消したことで、開発費を含む関連費用の増加を見込んでいます。

 

5カ年中計終了の協和キリン、海外売上収益率が大幅上昇

協和キリンは21年からの5カ年の中期経営計画が25年で終了。「売上収益のCAGR(年平均成長率)10%以上」「コア営業利益率25%以上」「ROE10%以上」などを掲げていましたが、多くが未達で目標年度を30年代前半に先送りしました。

 

ただ、当初見込んでいた「売上収益5000億円規模」はほぼ達成した形で、主力のクリースビータとポテリジオの売り上げは5年間で3.7倍に拡大。海外売上収益比率を48%から74%へと引き上げる原動力となりました。逆に国内は減収傾向に歯止めがかかっておらず、経営課題の1つとなっています。

 

 

中外は21年から10年間の成長戦略「TOPI(トップアイ)2030」が進行中で、25年はちょうどその折り返しでした。同社の奥田修社長CEO(最高経営責任者)は同年末の記者懇談会で「さまざまな困難はあったが、総じて言えば順調に来た」と分析。毎年1品目のグローバル製品上市という目標に対し、現時点で年0.6品目のレベルまで到達したことを評価しました。30年に向けては、眼科や免疫炎症のほか、アルツハイマー病治療薬として開発中のトロンチネマブ(一般名)など、新たな領域への展開を期待します。

 

大塚HDは前の中計で掲げた23年の売り上げ計画1兆800億円を1年前倒しで達成。現在は24~28年の5カ年計画を進めています。期間中には抗精神病薬「エビリファイメンテナ」と利尿薬「サムスカ/ジンアーク」の特許切れがあり、レキサルティと抗がん剤「ロンサーフ」などでカバーする考えです。35年に向けた成長戦略では、連結売上収益3.5兆円を目指すとしています。

 

 

今後の成長は新薬の上市と市場拡大にかかってきます。大塚HDは26年が米国での実質的な販売初年度となるIgA腎症治療薬「ボイザクト」を250億円まで拡大させる計画。中外は米イーライリリーに導出したオルホルグリプロンが、米国で今年前半に発売できるとしています。協和キリンもロカチンリマブのピーク時売り上げを2000億円と見込むなど、次世代を担う製品に期待をかけます。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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