1. Answers>
  2. AnswersNews>
  3. ニュース解説>
  4. エンハーツ、HER2陽性乳がん1次治療に適応拡大…「Nuzolvence」「Blujepa」淋病に数十年ぶり新薬―2025年12月に米FDAが承認した新薬
ニュース解説

エンハーツ、HER2陽性乳がん1次治療に適応拡大…「Nuzolvence」「Blujepa」淋病に数十年ぶり新薬―2025年12月に米FDAが承認した新薬

更新日

亀田真由

(写真:ロイター)

 

2025年12月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。

 

 

【新薬】閉塞性肥大型心筋症薬「Myqorzo」など

【2025年12月に米FDAが承認した主な新薬】〈製品名(*=優先審査、★=ブレークスルーセラピー)/一般名/社名(国)/適応/開発状況(日本)〉 |循環器 |Cardamyst/etripamil/マイルストーン(カナダ)/発作性上室性頻拍の急性発作(成人)/— |Lerochol/lerodalcibep/LIBセラピューティクス(アメリカ)/高コレステロール血症患者のLDL-C低下(成人)/— |Myqorzo/aficamten/サイトキネティクス(アメリカ)/閉塞性肥大型心筋症(成人)/P3 |呼吸器 |Exdensur/depemokimab/GSK(イギリス)/重症喘息(12歳以上)/承認 |がん |Rybrevant FASPRO/amivantamab/hyaluronidase/JNJ(アメリカ)/進行リスクのある成人のIgA腎症におけるタンパク尿の減少/P3 |感染症 |Nuzolvence*/zoliflodacin/イノビバ(アメリカ)/淋菌感染症(12歳以上かつ体重35kg以上の合併症のない患者)/— |血液 |Fesilty/fibrinogen/グリフォルス(スペイン)/先天性フィブリノゲン欠乏症の急性出血発作(小児、成人)/— |Aqvesme/mitapivat/アジオス(アメリカ)/α/βサラセミアの貧血(成人)/— |その他 |Avance/acellular nerve allograft/Axogen(アメリカ)/末梢神経断裂(生後1カ月以降)/— |Waskyra★/etuvetidigene autotemcel/テレソン(イタリア)/ウィスコット・アルドリッチ症候群(生後6カ月以降)/— |Yartemlea/narsoplimab/オメロス(アメリカ)/造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(2歳以上)/— |Nereus/tradipitant/バンダ(アメリカ)/乗り物酔いによる嘔吐の予防(成人)/— |※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成。国内開発状況は各社のパイプライン情報などを参照

 

循環器

Cardamyst|カナダ・マイルストーン

即効性のカルシウムチャネル遮断薬「Cardamyst」(一般名・etripamil)は、成人の発作性上室性頻拍治療薬。急性発作時に自己投与可能な点鼻スプレー製剤で、同疾患では米国で30年以上ぶりの新薬となります。欧州でも1月に申請が受理されました。

 

Lerochol|米LIBセラピューティクス

第3世代のPCSK9阻害薬「Lerochol」(lerodalcibep)は、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症を含む高コレステロール血症の治療薬。食事療法と運動療法の補助として、月1回、少量を皮下投与するのが特徴。欧州でも申請中です。

 

Myqorzo|米サイトキネティクス

心筋ミオシン阻害薬「Myqorzo」(aficamten)は、成人の閉塞性肥大型心筋症治療薬。心筋ミオシンのモーター活性をアロステリックかつ可逆的に阻害することで、過剰な心収縮を抑制し、左室流出路の閉塞を改善します。日本ではライセンス先のバイエル薬品が臨床第3相(P3)試験を実施中です。

 

呼吸器

Exdensur|英グラクソ・スミスクライン

長時間作用型の抗IL-5抗体「Exdensur」(depemokimab)は、重症喘息の追加維持療法。年2回の投与で済むのが特徴で、臨床試験では、プラセボと比べて喘息発作の年間発現率を有意に低下させました。日本では昨年末に重症喘息と慢性副鼻腔炎の治療薬として承認。欧州でも近く両適応で承認される見通しです。

 

がん

Rybrevant FASPRO|米ジョンソン・エンド・ジョンソン

肺がん治療薬「Rybrevant FASPRO」は、抗EGFR/MET二重特異性抗体「Rybrevant」(amivantamab)にhyaluronidaseを加えた皮下投与製剤。投与時間が数時間から約5分に短縮され、患者負担の軽減が期待されます。日本でも昨年末に承認されました。

 

感染症

Nuzolvence|米イノビバ

淋菌感染症(淋病)治療薬「Nuzolvence」(zoliflodacin)は、淋病治療専用に開発されたスピロピリミジントリオン系抗菌薬。淋菌は治療に使われる抗菌薬のほぼすべてに耐性を獲得しており、薬剤耐性淋菌の問題が深刻化しています。承認の根拠となったP3試験は、薬剤耐性菌感染症対策に取り組むGARDP(グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ)が主導。タイでも申請済みで、南アフリカや欧州でも申請を計画しています。

 

血液

Fesilty|スペイン・グリフォルス

「Fesilty」は、先天性フィブリノゲン欠乏症治療に使うフィブリノゲン濃縮物です。同疾患は血液凝固や創傷治癒に欠かせないフィブリノゲンが不足するまれな遺伝性疾患。Fesiltyは急性出血時に投与することでフィブリノゲン濃度を迅速に回復します。ドイツでも承認済みで、欧州では年内の承認が見込まれています。

 

Aqvesme|米アジオス

ピルビン酸キナーゼ(PK)活性化薬の「Aqvesme」(mitapivat)は、α/βサラセミアの貧血治療薬。患者452人を対象に行ったP3試験の結果に基づいて承認されました。同有効成分は、22年に米国でPK欠乏症治療薬「Pyrukynd」として承認されています。

 

その他

Avance|米Axogen

「Avance」(acellular nerve allograft)は、末梢神経断裂の治療に使用する無細胞神経スキャフォールド。感覚神経、混合神経、運動神経に断裂のある生後1カ月以上の患者が対象です。従来の自家移植と違い、ドナー由来の組織から作製できるため、患者負担の軽減が期待されます。

 

Waskyra|伊テレソン

「Waskyra」(etuvetidigene autotemcel)は、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)治療薬として承認されました。WASは、WAS遺伝子変異によるX染色体劣性原発性免疫不全症。Waskyraは、WAS遺伝子をコードするレンチウイルスベクターを導入した自己CD34陽性造血幹細胞・前駆細胞です。造血幹細胞移植が適応となるものの、HLA適合の血縁ドナーがいない生後6カ月以上の患者に使用します。欧州でも近く承認される見通しです。

 

Yartemlea|米オメロス

MASP-2阻害薬「Yartemlea」(narsoplimab)は、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(TA-TMA)治療薬です。TA-TMAは造血幹細胞移植後の合併症の1つで、補体のレクチン経路が活性化することで引き起こされます。Yartemleaはレクチン経路のエフェクター酵素であるMASP-2を阻害し、レクチン経路の活性化を選択的に遮断します。臨床試験の完全奏効率は61%で、生存率の改善も確認。欧州でも申請中です。

 

Nereus|米バンダ

NK-1受容体拮抗薬「Nereus」(tradipitant)は、乗り物酔いによる嘔吐の予防薬です。乗り物酔いに対する新薬は40年以上ぶり。米イーライリリーが創製したもので、バンダは胃不全麻痺やGLP-1受容体作動薬による嘔吐の予防の適応でも開発中です。

 

【適応拡大】CAR-T「Breyanzi」の辺縁帯リンパ腫など

【2025年12月に米FDAが承認した主な適応拡大】〈適応範囲/製品名(●は国内未承認薬、*=優先審査、★=ブレークスルーセラピー)/一般名/社名(国)/適応/同適応での開発状況(日本)〉 |がん |Jaypirca/pirtobrutinib/イーライリリー(アメリカ)/再発・難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(成人)/承認 |●Akeega*/abiraterone/niraparib/JNJ(アメリカ)/BRCA2遺伝子変異を有する転移性去勢感受性前立腺がん(成人、+prednisone)/— |Enhertu*★/trastuzumab deruxtecan/第一三共(日本)/HER2陽性の切除不能または転移性乳がんの1次治療(成人)/申請 |●Rubraca/rucaparib/pharma&(オーストリア)/[完全承認] BRCA遺伝子変異を伴う転移性去勢抵抗性前立腺がん(成人)/— |Zynyz/retifanlimab/インサイト(アメリカ)/[完全承認] 転移性または再発局所進行のメルケル細胞がん(成人)/— |Breyanzi*/lisocabtagene maraleucel/ブリストル(アメリカ)/再発・難治性の辺縁帯リンパ腫(成人)/— |精神・神経 |Uplizna/inebilizumab/アムジェン(アメリカ)/重症筋無力症(成人)/申請 |●Vraylar/cariprazine/アッヴィ(アメリカ)/統合失調症(13歳以上の小児を追加)、双極性障害I型(10歳以上の小児を追加)/P3 |循環器・代謝・腎 |Wegovy/semaglutide/ノボ ノルディスク(デンマーク)/肥満または過体重の成人の体重管理、主要心血管イベントの減少(経口薬が承認)/P3 |Mounjaro/tirzepatide/イーライリリー(アメリカ)/2型糖尿病(10歳以上の小児を追加)/— |Furoscix/furosemide/マンカインド(アメリカ)/慢性心不全、慢性腎臓病に伴う浮腫(体重43kg以上の小児を追加)/— |呼吸器 |●Jascayd*/nerandomilast/ベーリンガーインゲルハイム(ドイツ)/進行性肺線維症(成人)/申請 |血液 |●Omisirge*/omidubicel/Ayrmid(イギリス)/重症再生不良性貧血/— |感染症 |Recarbrio/cilastatin/imipenem/relebactam/メルク(アメリカ)/グラム陰性菌感染症(体重2kg以上の小児に対象拡大)/— |Blujepa*/gepotidacin/GSK(イギリス)/淋菌感染症(12歳以上、体重45kg以上の小児と成人)/— |その他 |Addyi*/flibanserin/Sprout(アメリカ)/性的欲求低下障害(65歳以下の女性:閉経後の女性に対象を拡大)/— |Accrufer*/ferric maltol/シールド(イギリス)/鉄欠乏症(10歳以上の小児を追加)/— |※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成。国内開発状況は各社のパイプライン情報などを参照

 

がん

Jaypirca|米イーライリリー

非共有結合型BTK阻害薬「Jaypirca」(pirtobrutinib)は「再発・難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫」に適応拡大。共有結合型BTK阻害薬に抵抗性または不耐の患者238人を対象とする臨床試験で、無増悪生存期間を化学療法群に比べて有意に延長しました。日本では昨年9月に同適応で承認済みです。

 

Akeega|米ジョンソン・エンド・ジョンソン

CYP17阻害薬abirateroneとPARP阻害薬niraparibの配合剤「Akeega」は、「BRCA2遺伝子変異を有する転移性去勢感受性前立腺がん」に対するprednisoneとの併用療法が承認されました。P3試験では、標準治療(abiraterone+prednisone)と比べて画像診断上の進行または死亡リスクを54%低減。欧州でも申請中です。

 

Enhertu|第一三共

抗HER2抗体薬物複合体(ADC)「Enhertu」(trastuzumab deruxtecan)は、HER2陽性の切除不能または転移性乳がんの1次治療に適応拡大しました。臨床試験では、標準治療と比べて無増悪生存期間を有意に延長。日本やスイスなどでも申請中です。

 

Rubraca|オーストリアpharma&

PARP阻害薬「Rubraca」(rucaparib)は、BRCA遺伝子変異を伴う転移性去勢抵抗性前立腺がんの適応で完全承認を取得しました。アンドロゲン受容体標的療法を受けた患者が対象。前立腺がんの適応では20年に迅速承認を取得しており、化学療法未治療の患者405人を対象に行った検証的P3試験の結果をもとに正式承認されました。

 

Zynyz|米インサイト

抗PD-1抗体「Zynyz」(retifanlimab)は、転移性または再発局所進行のメルケル細胞がんの適応で完全承認を取得。同適応では23年に迅速承認を取得していました。日本では昨年末、肛門管扁平上皮がん治療薬として承認。同適応では米国で昨年5月に承認されています。

 

Breyanzi|米ブリストル・マイヤーズスクイブ

抗CD19 CAR-T細胞療法「Breyanzi」(lisocabtagene maraleucel)は、再発・難治性の辺縁帯リンパ腫に適応拡大。2つ以上の全身療法を受けた患者に単回投与します。承認の根拠となった臨床試験の全奏効率は95.5%で、奏効患者の9割が2年以上奏効を維持。日本でも同適応で申請中です。

 

精神・神経

Uplizna|米アムジェン

抗CD19抗体「Uplizna」(inebilizumab)は、全身性重症筋無力症に適応拡大しました。対象は、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体・抗筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性の成人患者。初回投与後は年2回の投与で病勢コントロールが期待できます。日本では田辺ファーマが同適応の追加を申請中です。

 

Vraylar|米アッヴィ

「Vraylar」(cariprazine)は、統合失調症で13歳以上の小児、双極性I型障害で10歳以上の小児を対象に承認を取得。成人の適応ではそれぞれ17年、19年に承認されています。同薬はハンガリーのゲデオン・リヒターが発見した経口ドパミンD3/D2受容体部分作動薬で、両社で共同開発。日本ではアッヴィが権利を持ち、統合失調症を対象とするP3試験を終えています。

 

循環器・代謝・腎

Wegovy|デンマーク・ノボノルディスク

持続性GLP-1受容体作動薬「Wegovy」(semaglutide)は、経口剤が承認されました。適応は、肥満または過体重の成人の体重管理および主要心血管イベントの減少。臨床試験では、従来の注射剤と同等の減量効果が確認されました。欧州でも承認中で、日本ではP3段階にあります。

 

Furoscix|米マンカインド

ループ利尿薬「Furoscix」(furosemide)は、「慢性心不全および慢性腎臓病に伴う浮腫」の適応で体重43kg以上の小児に対象を拡大。同薬はscPharmaceuticalsが開発。マンカインドは昨年10月に同社を買収しました。

 

呼吸器

Jascayd|独ベーリンガーインゲルハイム

PDE4B阻害薬「Jascayd」(nerandomilast)は、成人の進行性肺線維症に適応拡大しました。肺の炎症と線維化を抑制する作用を持ち、米国では特発性肺線維症を対象に25年10月に承認。日本と欧州でも肺線維症を対象に申請中です。

 

血液

Omisirge|英Ayrmid

「Omisirge」(omidubicel)は、重症再生不良性貧血に対する臍帯血由来の細胞治療。承認の根拠となった試験では、早期かつ持続的な造血回復と、輸血非依存が示されました。同薬は23年に血液がん患者の幹細胞移植後の感染リスクを低減する治療として承認されています。

 

感染症

Blujepa|英グラクソ・スミスクライン

「Blujepa」(gepotidacin)は、淋菌感染症(淋病)に適応拡大。臨床試験で標準治療に対する非劣性が確認されました。同薬はトリアザアセナフチレン系抗生物質で、米国では25年3月に単純性尿路感染症治療薬として承認。日本では同適応でP3試験の段階にあります。

 

その他

Accrufer|英シールド

鉄欠乏症治療薬「Accrufer」(ferric maltol)は、10歳以上の小児が対象に追加されました。同薬は19年に成人対象に承認。生後1カ月以降の小児を対象に行った臨床試験の結果に基づいて対象を拡大しました。Accruferは、同試験結果をもとに新たな小児向け製剤の申請も予定しています。日本では25年4月にバイタルネットが開発・販売権を取得しました。

 

【バイオシミラー】独Formyconのranibizumabなど

【2025年12月に米FDAが承認したバイオシミラー】〈製品名/一般名/社名(国)/適応〉 |Nufymco/ranibizumab/Formycon(ドイツ)/滲出型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管 |Boncresa/denosumab/アムニール(アメリカ)/骨折リスクの高い骨粗鬆症、内分泌療法を受ける骨折リスクの高い患者の骨量増加など |Oziltus/denosumab/アムニール(アメリカ)/多発性骨髄腫や骨転移を有する固形がんの骨関連事象予防、骨巨細胞腫、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症 |※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成

 

Nufymco|独Formycon

「Nufymco」は、眼科用VEGF阻害薬「Lucentis」(ranibizumab)のバイオシミラー。米国での商業化はインドのZydusが担います。

 

Boncresa/Oziltus|米アムニール

「Boncresa」と「Oziltus」は、米国で9番目となる抗RANKL抗体denosumabのバイオシミラー。Boncresaは骨粗鬆症治療薬「Prolia」、Oziltusは骨巨細胞腫などの治療薬「Xgeva」に対応します。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

あわせて読みたい

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる

オススメの記事

人気記事

メールでニュースを受け取る

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる