
2026年に国内で登場が見込まれる主な新薬を、領域別に2回に分けて紹介します。2回目は「精神・神経」「代謝」「感染症・ワクチン」「再生医療」「その他」領域です。
- 1回目:領域)がん、血液、皮膚、眼、呼吸器
- 2回目:領域)精神・神経、代謝、感染症・ワクチン、再生医療、その他
INDEX
【精神・神経】塩野義のうつ病薬が登場、片頭痛には2新薬

精神・神経領域では、昨年末に塩野義製薬のうつ病治療薬「ザズベイカプセル」(一般名・ズラノロン)が承認されました。同薬は米セージ・セラピューティクスから導入したGABAA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター。投与3日目から症状の改善が見られることや2週間で投与が終了する(再投与する場合は6週間以上休薬)ことが特徴で、うつ病治療のアンメットニーズを満たす薬剤として同社は期待しています。
片頭痛では、アッヴィの経口CGRP受容体拮抗薬アトゲパントが発作の発症抑制と急性期治療の2つの適応で申請中。両適応で承認されれば、経口薬としては昨年12月に発売されたファイザーの「ナルティーク」(リメゲパント)に続く薬剤となります。一方、ルンドベック・ジャパンは発作の発症抑制薬として抗CGRP抗体エプチネズマブを昨年11月に申請。承認されれば、同社にとって日本で製造販売承認を取得する初の製品になる予定です。
小野薬品工業は、二次性全般化発作を含むてんかん部分発作を対象にセノバメートが年内承認の見通し。20年に韓国のSKバイオファーマシューティカルズから導入した薬剤で、臨床試験では既存治療への上乗せで効果を発揮することが確認されています。
アキュリスファーマのヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬ピトリサントは、睡眠時無呼吸症候群とナルコレプシーの治療薬として年内の承認が見込まれます。同社を買収したヴィアトリスが昨年末に申請を公表しました。ナルコレプシーでは、武田薬品工業が2025年度中にオレキシン2受容体選択的作動薬oveporextonの申請を計画。先駆的医薬品に指定されており、年内の承認が期待されます。
【代謝】長鎖脂肪酸代謝異常症に初の治療薬
代謝領域では、ウルトラジェニクスが長鎖脂肪酸代謝異常症を対象にトリヘプタノインを条件付き承認制度の下で申請中。食事療法が基本とされてきた同疾患にとって初の治療薬となる見通しです。
希少代謝疾患ではこのほか、PTCセラピューティクスのフェニルケトン尿症治療薬「セピエンス顆粒分包」(セピアプテリン)と、オーファンパシフィックの尿素サイクル異常症治療薬「ラヴィクティ内用液」(フェニル酪酸グリセロール)が昨年末に承認。今年発売となる見込みです。

ノボノルディスクファーマは、インスリン イコデクとGLP-1受容体作動薬セマグルチドの配合注射剤を2型糖尿病を対象に申請中。中外製薬が創製し、米イーライリリーに導出した経口GLP-1受容体作動薬オルホルグリプロンも、リリーは肥満症の適応で25年内に日本を含むグローバルでの申請を行う方針を表明しており、年内承認の可能性があります。
関連記事:中外製薬、自社でも肥満症・糖尿病参入…ロシュ買収のGLP-1導入、導出のオルフォルグリプロンは申請間近
【感染症・ワクチン】MSDが2新薬

感染症領域では、MSDが2つの新薬を昨年7月に申請しました。1つは長期間作用型の抗RSウイルス抗体クレスロビマブ。生後初めて流行期を迎える新生児や乳児の感染予防を予定適応としており、24年発売の「ベイフォータス筋注」(サノフィ)に続く健康な乳幼児にも使用できる選択肢として期待されています。もう1つは、HIV-1感染症に対するヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害薬(NRTTI)イスラトラビルと非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)ドラビリンの2剤配合錠です。このほか、MeijiSeikaファルマが昨年末に自社創製のβ-ラクタマーゼ阻害薬ナキュバクタムを申請しました。
サノフィのインフルエンザワクチン「エフルエルダ筋注」は、26年10月から定期接種化されることとなっており、秋ごろの発売を目指して準備が進められています。モデルナが申請中の「mRNA-1283」は、次世代の新型コロナウイルスワクチン。同社の「スパイクバックス」と比べて低用量でより高い免疫応答を誘導するとされています。
【再生医療】オンコリス、OBP-301は年内発売を計画
再生医療等製品では、iPS細胞由来製品の承認が見込まれています。
住友ファーマのラグネプロセルは、パーキンソン病患者の脳内に移植する他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞。京都大で行った医師主導治験の結果をもとに昨年8月に申請を行いました。先駆け審査指定制度の対象品目で、住友は3月末までの承認を期待しています。クオリプスも重症心不全患者の心臓へ移植する他家iPS細胞由来心筋細胞シートを申請中です。

遺伝子治療薬では、フェリング・ファーマの筋層非浸潤性膀胱がん治療薬ナドファラゲン フィラデノベクの承認が期待されます。3カ月に1回、インターフェロンアルファ2b遺伝子を膀胱内に導入し、患者自身の膀胱上皮細胞でインターフェロンが産生されるようにする治療法。同社はBCG治療が奏功しない高リスク患者の第1選択薬となることを期待しています。
オンコリスバイオファーマは、食道がんに対する腫瘍溶解ウイルス「OBP-301」を12月に申請。先駆的再生医療等製品に指定されており、今年半ばの承認が見込まれます。販売では富士フイルム富山化学と提携し、薬価収載を経て年内の発売を計画。富士フイルム富山化学は半月板損傷に対する自家滑膜間葉系幹細胞「FF-31501」を申請中です。
サンバイオ「アクーゴ」発売へ
24年7月に条件・期限付き承認を取得したサンバイオの外傷性脳損傷治療薬「アクーゴ脳内移植用注」(バンデフィテムセル)は、昨年末に出荷制限に関する条件を解除する一部変更承認を取得。ようやく発売にこぎつける見通しです。
中外が昨年5月に承認を取得したデュシェンヌ型筋ジストロフィー向け遺伝子治療薬「エレビジス点滴静注」(デランジストロゲン モキセパルボベク)は、海外での死亡事例を受けて薬価収載の議論が止まっていましたが、添付文書改訂などの安全対策が行われており、昨年10月の中央社会保険医療協議会(中医協)で議論の再開が大筋で了承されました。
再生医療ではこのほか、ニプロの脊髄損傷治療用「ステミラック注」の本承認申請の行方も注目です。
関連記事:「2030年に1兆円企業」掲げるニプロ、国内中心の医薬品事業はどう稼ぐか
【その他】クリニジェン、母乳強化剤を発売へ

日本での事業拡大を進めるクリニジェンは、母乳強化剤「プリミーフォート経腸用液」を年内に発売する見通し。ドナーの母乳から抽出・加工される製品で、超低出生体重児などの栄養管理を目的に使用されます。
関連記事:英クリニジェン、日本事業を強化「2~3年で売り上げ倍増」MR・MSLの人員増強
キッセイ薬品工業の子宮筋腫治療薬「イセルティ錠」(リンザゴリクス)は、同社創製のGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニスト。欧州に続いて昨年末に日本でも承認されました。アルフレッサファーマは経鼻投与のアナフィラキシー補助治療薬「ネフィー点鼻液」(アドレナリン)を近く発売する見通しです。



