
2026年に国内で登場が見込まれる主な新薬を、領域別に2回に分けて紹介します。1回目は「がん」「血液」「皮膚」「眼」「呼吸器」領域です。
- 1回目:領域)がん、血液、皮膚、眼、呼吸器
- 2回目:領域)精神・神経、代謝、感染症・ワクチン、再生医療、その他
INDEX
【がん】膀胱がんに遺伝子治療、インサイトが2新薬発売へ


今年もがん領域には多くの新薬が登場する見込みです。
乳がんでは、昨年末に日本イーライリリーの選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)「イムルリオ錠」(一般名・イムルネストラント)が承認されました。経口SERDは国内初。内分泌療法後に増悪したESR1遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の患者が対象となります。乳がん患者の一部では、ESR1遺伝子変異によってエストロゲン受容体が過剰に活性化されてがんが進行しますが、同薬はエストロゲン受容体の働きを抑え、分解することで抗腫瘍効果を発揮します。アストラゼネカも同じ作用機序のカミゼストラントを1次治療で申請中。一方、HER2陽性乳がんでは、ファイザーがHER2阻害薬ツカチニブを昨年3月に申請しました。
肺がんでは、バイエル薬品がHER2活性化変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にセバベルチニブを申請。ヤンセンファーマはEGFR陽性NSCLC治療薬「ライブリバント」(アミバンタマブ)の皮下注製剤「リブロファズ配合皮下注」の承認を昨年末に取得しました。同社はさらに、高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに対してゲムシタビン膀胱内システム「TAR-200」の申請を行っています。膀胱内局所で持続的にゲムシタビンを放出するシステムで、カテーテルを使って膀胱内に留置します。筋層非浸潤性膀胱がんに対しては、フェリング・ファーマもインターフェロンアルファ2bを発現させることで抗腫瘍効果を発揮する遺伝子治療薬を申請中です。
関連記事:高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに40年ぶり新薬登場へ…フェリングが遺伝子治療薬申請、ヤンセンは局所送達システム
海和製薬、国内2製品目が承認へ
中国Haihe Biopharmaの日本法人・海和製薬は、国内2製品目となる卵巣明細胞がん治療薬リソバリシブを申請中。自社創製の高選択性PI3Kα阻害薬で、24年に承認された同社創製のMET阻害薬「ハイイータン錠」と同様に、承認後の販売は大鵬薬品工業が行う予定です。
インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは抗PD-1抗体「ジニイズ点滴静注」(肛門管扁平上皮がん)と、CD19を標的とするFc改変抗体「ミンジュビ点滴静注用」(濾胞性リンパ腫)の2新薬の発売を見込みます。日本セルヴィエのIDH1/IDH2阻害薬「ボラニゴ錠」(適応・神経膠腫)と日本新薬のCD123を標的とする細胞毒素「エルゾンリス点滴静注」(芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)も昨年承認を取得しました。
昨年6月承認の骨髄線維症治療薬「インレビックカプセル」(フェドラチニブ)は、昨年12月にレコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパンがブリストル・マイヤーズスクイブから国内の権利を取得する契約を締結。販売に向けた準備が進んでいます。
【血液】カルビスタの遺伝性血管浮腫治療薬、科研が販売へ

カルビスタ・ファーマシューティカルズの「エクテリー錠」(セベトラルスタット)は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作に対する経口血漿カリクレイン阻害薬として昨年12月に承認。販売はライセンス先の科研製薬が担います。科研にとっては初の希少疾患製品で、HAEは皮膚症状を伴うケースも多いことから「皮膚科領域でのプレゼンスを活かせる」(同社)とシナジーを期待。従来の注射剤に代わる、日本初の経口オンデマンド治療薬として患者の利便性向上や治療アクセスの改善を目指します。
サノフィのBTK阻害薬リルザブルチニブは、持続性または慢性の免疫性血小板減少症(ITP)を対象に申請中。承認されればITPに対する初のBTK阻害薬となります。ITPは、かつて特発性血小板減少性紫斑病と呼ばれていた疾患で、近年、免疫系の関与が明らかとなり呼称が変わりました。リルザブルチニブは多面的な免疫調節を介してITPの病態に働きかけると考えられています。
【皮膚】ヤンセン、乾癬に対するペプチド薬を申請中
皮膚疾患に対しても新たなBTK阻害薬が申請中です。ノバルティスファーマのレミブルチニブは特発性の慢性蕁麻疹の治療薬。BTKを阻害することで、ヒスタミンやその他の炎症性メディエーターの放出を抑制し、症状を緩和すると考えられています。

ヤンセンファーマのイコトロキンラは、IL-23受容体を選択的に阻害する標的経口ペプチド。尋常性乾癬や膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の適応で申請中です。乾癬を対象に行った臨床試験では、デュークラバシチニブ(製品名・ソーティクツ)に対する優越性が確認されました。
鳥居薬品の「ワイキャンス外用液」(カンタリジン)も近く発売となりそうです。米ベリカ・ファーマシューティカルズから導入した伝染性軟属腫(水いぼ)治療薬で、昨年11月に薬価収載されました。
【眼】参天、後天性眼瞼下垂に初の治療薬

眼科領域では、参天製薬が後天性眼瞼下垂に対する国内初の治療薬「アップニークミニ点眼液」(オキシメタゾリン塩酸塩)を投入予定。後天性の眼瞼下垂の多くは眼瞼挙筋腱膜の退行性変化によって起こるとされますが、これまでの治療は外科手術に限られていました。同薬はミュラー筋のα受容体に作用して上眼瞼を挙上させ、症状を改善します。参天は同薬を成長ドライバーの1つとして期待しており、グローバルでピーク時に約450億円の売り上げを想定。同社は、緑内障・高眼圧症薬ネタルスジルメシル酸塩も申請中です。
千寿製薬のドライアイ治療薬「アバレプト懸濁性点眼液」(モツギバトレプ)も今年発売の見込み。持田製薬が創製したTRPV1拮抗薬で、千寿が行った国内臨床第3相(P3)試験の結果をもとに昨年12月に承認されました。
【呼吸器】ベーリンガーが肺線維症に新薬

呼吸器領域では、日本ベーリンガーインゲルハイムがPDE4B阻害薬ネランドミラストを昨年6月に申請。同社主力の抗線維化薬「オフェブ」(ニンテダニブ)に続く肺線維症治療薬となります。インスメッドのDPP1阻害薬ブレンソカチブは、非嚢胞性線維症気管支拡張症の適応で申請中。好中球内の酵素の活性化を抑える作用を持ちます。
グラクソ・スミスクライン(GSK)の抗IL-5抗体「エキシデンサー皮下注」(デペモキマブ)は、気管支喘息と鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の適応で昨年12月に承認。順調にいけば近く薬価収載となる見込みです。




