武田薬品、帆船で医薬品輸送…欧州―米国間で26年後半から/「ヘルネクシオス」「アイザベイ」など新薬承認|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2025年9月19日)
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AnswersNews編集部

武田薬品、帆船で医薬品輸送…欧州―米国間で26年後半から
武田薬品工業は9月19日、欧州―米国間で帆船による自社医薬品の輸送を始めると発表した。貨物帆船の設計・運航を手がける仏VELA Transportと提携し、航海時に100%風力で航行する同社の貨物三胴帆船を活用。2026年後半の初航海を予定している。活用する船は医薬品輸送専用に設計され、船上で発電された再生エネルギーで稼働するGDP(適正流通基準)準拠の冷蔵システムを備える。風力を利用した海上輸送により、温室効果ガスの排出量を航空輸送に比べて最大99%、コンテナ船に比べて最大90%削減できるという。
ベーリンガーインゲルハイム、経口HER2阻害薬「ヘルネクシオス」承認
日本ベーリンガーインゲルハイムは9月19日、経口HER2阻害薬「ヘルネクシオス錠」(一般名・ゾンゲルチニブ)の承認を取得したと発表した。適応は「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」。HER2陽性非小細胞肺がんでは初の経口分子標的薬となる。HER2陽性の切除不能または転移性固形がんを対象に行った臨床第1相(P1)試験では、治療歴のある患者で客観的奏効率71%、病勢コントロール率96%を示した。
アステラス、萎縮型加齢黄斑変性薬「アイザベイ」条件付き承認取得
アステラス製薬は9月19日、萎縮型加齢黄斑変性治療薬「アイザベイ硝子体内注射液」(アバシンカプタド ペゴルナトリウム)の条件付き承認を取得したと発表した。適応は萎縮型加齢黄斑変性における地図状萎縮の進行抑制。承認の根拠となった2つの臨床試験では、偽処置対象群と比較して地図状萎縮の進行速度を統計学的に有意に抑制した。同薬は補体因子C5阻害薬。
ノバルティス、放射性リガンド療法「プルヴィクト」承認
ノバルティスファーマは9月19日、放射性リガンド療法「プルヴィクト静注」(ルテチウムビピボチドテトラキセタン<177Lu>)の承認を取得したと発表した。適応は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)。同薬は標的化合物と治療用放射性核種を組み合わせた薬物複合体。PSMA陽性mCRPC治療に対する国内初の放射性リガンド療法となる。
ファイザー、片頭痛薬「ナルティーク」承認
ファイザーは9月19日、片頭痛治療薬「ナルティーク錠」(リメゲパント硫酸塩水和物)の承認を取得したと発表した。急性期治療と発症抑制の2つの適応を持つ片頭痛治療薬は国内初。同薬は経口のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬で、承認は18歳以上の患者を対象に行った国内外の臨床試験の結果に基づく。
大塚製薬、高コレステロール血症薬「ネクセトール」承認
大塚製薬は9月19日、高コレステロール血症治療薬「ネクセトール錠」(ベムペド酸)の承認を取得したと発表した。肝臓のコレステロール合成経路でスタチンの作用点より上流にあるATPクエン酸リアーゼに作用し、血中のLDL-コレステロールを低下させる新規作用機序の薬剤。スタチンで効果不十分またはスタチンが適さない患者を対象に行った国内P3試験では、プラセボと比べて統計学的に有意にLDL-コレステロールを低下させた。大塚は2020年に米エスペリオンセラピューティクスから国内での開発販売権を取得した。
ヤンセン、全身型重症筋無力症治療薬「アイマービー」承認
ヤンセンファーマは9月19日、全身型重症筋無力症治療薬「アイマービー点滴静注」(ニポカリマブ)の承認を取得したと発表した。FcRnを阻害する抗体医薬で、全身型重症筋無力症を引き起こすIgG抗体の濃度を下げる。成人患者を対象に行った国際共同P3試験では、標準治療との併用でプラセボに比べて日常生活動作を有意に改善。12~17歳を対象に実施中のP2/3試験でも血清中のIgG抗体減少と日常生活動作の改善が示された。
日本化薬、肺がん治療薬「イブトロジー」承認
日本化薬は9月19日、ROS1阻害薬「イブトロジーカプセル」(タレトレクチニブアジピン酸塩)について、「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の適応で承認を取得したと発表した。承認の根拠となった2つのP3試験では、日本人患者も含め有効性が確認された。日本化薬は2023年に、現在は米Nuvation Bioの傘下となったAnHeart Therapeuticsと、国内での販売・流通に関するライセンス契約を締結した。
日本セルヴィエ「ボラニゴ」承認
日本セルヴィエは9月19日、抗がん剤「ボラニゴ錠」(ボラシデニブ クエン酸水和物)について、「IDH1またはIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫」の適応で承認を取得したと発表した。変異型IDH1/IDH2を阻害する薬剤で、これらの酵素活性を阻害することでがん代謝物の産生を抑え、腫瘍細胞の分化を誘導し、腫瘍の増殖を抑制する。
アルフレッサファーマ、点鼻のアナフィラキシー補助治療薬「ネフィー」承認
アルフレッサホールディングスは9月19日、子会社アルフレッサファーマがアナフィラキシー補助治療薬「ネフィー点鼻液」(アドレナリン)の承認を取得したと発表した。アナフィラキシーに対して広く使われているアドレナリンの自己注射キット製剤に比べて、簡便で迅速な投与が可能になると期待されている。アルフレッサファーマは2020年に米ARSファーマシューティカルズオペレーションズから国内の開発・販売権を取得した。
鳥居薬品、皮膚疾患治療薬「ワイキャンス」承認
鳥居薬品は9月19日、皮膚疾患治療薬「ワイキャンス外用液」(カンタリジン)の承認を取得したと発表した。適応は伝染性軟属腫。米Verrica Pharmaceuticalsからの導入品で、同社は尋常性疣贅への適応拡大に向けた開発を進めている。
アストラゼネカ「イミフィンジ」2がん種で術前・術後補助療法の適応承認
アストラゼネカは9月19日、抗PD-L1抗体「イミフィンジ点滴静注」(デュルバルマブ)について、非小細胞肺がんと膀胱がんに対する術前・術後補助療法の承認を取得したと発表した。非小細胞肺がんを対象に行った臨床試験では、イミフィンジベースの周術期治療は術前補助化学療法単独と比較して再発、進行または死亡イベントの発現リスクを32%低下。膀胱がんでも、根治的膀胱全摘除術を伴う術前補助化学療法単独に比べて病勢進行、再発、手術未施行、または死亡のリスクを32%低下させた。
リジェネロン「リブタヨ」非小細胞肺がんに適応拡大
リジェネロン・ジャパンは9月19日、抗PD-1抗体「リブタヨ点滴静注」(セミプリマブ)について、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんへの適応拡大の承認を取得したと発表した。同薬としては、2023年承認の子宮頸がんに続く適応となる。
中外製薬「テセントリク」希少がんへの適応拡大が承認
中外製薬は9月19日、抗PD-L1抗体「テセントリク点滴静注」(アテゾリズマブ)について、再発または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)への適応拡大の承認を取得したと発表した。ENKLは鼻腔に多く発症する悪性リンパ腫の1つ。悪性リンパ腫全体(年間発症数約3万6000人)のうち約0.68%と稀な疾患で、進行期では初回治療後に約6割の患者が再発するとされる。承認は、国立がん研究センター中央病院などで行われた医師主導P2試験の結果に基づく。
リリー「ジャイパーカ」慢性リンパ性白血病に適応拡大
日本イーライリリーは9月19日、BTK阻害薬「ジャイパーカ錠」(ピルトブルチニブ)について、「他のBTK阻害薬に抵抗性または不耐容の再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」への適応拡大の承認を取得したと発表した。国際共同P3試験では、治験担当医師が選択した化学療法との比較で無増悪生存期間を有意に延長した。同薬の流通・販売と情報提供活動は提携する日本新薬が行う。
ベクティビックスとルマケラスの併用、結腸・直腸がんで承認
武田薬品工業は9月19日、抗EGFR抗体「ベクティビックス点滴静注」(パニツムマブ)について、アムジェンのKRAS G12C阻害薬「ルマケラス錠」(ソトラシブ)との併用療法が「がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」の適応で承認されたと発表した。承認は国際共同P3試験の結果に基づく。結腸・直腸がん患者のうちKRAS G12C変異を持つ患者は約3%と推定されている。
PDRファーマ「ライアット」神経芽腫に適応拡大
PDRファーマは9月19日、放射性医薬品「ライアット MIBG-I 131」(3-ヨードベンジルグアニジン<131I>)について、「MIBG 集積陽性の神経芽腫」への適応拡大の承認を取得したと発表した。関連学会から適応追加の要望があり、今年3月の厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請に該当すると判断された。
バイオジェン「スピンラザ」高用量レジメンが承認
バイオジェン・ジャパンは9月19日、脊髄性筋萎縮症治療薬「スピンラザ髄注」(ヌシネルセン)の高用量投与レジメンが承認されたと発表した。高用量投与レジメンは、初期投与として50mgを14日間隔で2回投与したあと、維持投与として4カ月ごとに28mgを投与する。臨床試験では従来の12mgのレジメンに対する優越性を示した。より高い運動機能の改善を求める患者への選択肢として提供する。
バイエル、血液凝固第VIII因子製剤「ジビイ」7歳以上に対象拡大
バイエル薬品は9月19日、ペグ化血液凝固第VIII因子製剤「ジビイ静注用」(ダモクトコグ アルファ ペゴル)について、7歳以上への適応拡大が承認されたと発表した。従来は12歳以上が対象だった。
富士製薬、バイオシミラー3製品の承認取得
富士製薬工業は9月19日、バイオシミラー3製品の承認を取得したと発表した。承認されたのは▽眼科用VEGF阻害薬「アフリベルセプトBS硝子体内注射液『NIT』」▽抗TNFα抗体「ゴリムマブBS皮下注『F』」▽抗RANKL抗体「デノスマブBS皮下注RM『F』」――。いずれも、アイスランドのアルボテックとの提携品。
アラガン・エステティックス A型ボツリヌス毒素製剤、咬筋膨隆の適応追加を申請
アラガン・エステティックスは9月19日、A型ボツリヌス毒素製剤について、咬筋膨隆の適応追加を申請したと発表した。咬筋膨隆は、歯ぎしりや固い食品の咀嚼などによって咬筋(顔のエラの部分にある筋肉)が肥大した状態のこと。美容医療では従来、生活習慣や食生活の改善、骨切除などの外科的治療が主な選択肢だった。
富士フイルム子会社、米アルジェニクスと新たな受託製造契約
富士フイルムは9月19日、CDMO子会社のフジフイルム・バイオテクノロジーズが、米アルジェニクスと抗体医薬の製造に関する新たな契約を結んだと発表した。既存の製造契約に加え、米国新拠点で2028年に稼働開始予定の設備を使い、アルジェニクスの全身型重症筋無力症などの治療薬エフガルチギモドの原薬製造を受託する。フジフイルム・バイオテクノロジーズは、米ノースカロライナで2万リットルの動物細胞培養タンク16基を持つ新拠点の整備を進めている。このうち8基は今年、残る8基は28年の稼働開始を予定している。





