
各社が公表した有価証券報告書をもとに、国内の製薬会社・バイオベンチャー90社の2024年度の平均年収ランキングをまとめました。1000万円の大台を超えたのは16社で、1位は東証プライム上場のネクセラファーマ。大手新薬メーカーでは今回も中外製薬がトップでした。
昨年トップのサンバイオは2位
集計対象としたのは、7月28日までに直近の事業年度の有価証券報告書を公表した国内の医薬品企業90社。新薬メーカーのほか、後発医薬品メーカーやOTC(一般用医薬品)メーカー、バイオベンチャーが含まれます。
1位のネクセラファーマの平均年収は1952.9万円。前年度から411.2万円(26.7%)増で、2位に300万円以上の差をつけました。ネクセラが平均年収トップとなったのは2年ぶり。2位は前年首位のサンバイオ。平均年収は1641.2万円で、前年度から44.6万(2.8%)増加しました。
3位は1321.5万円のシンバイオ製薬。前年度から5.8万円減少しましたが、順位は1つ上げています。4位は1310.0万円のソレイジア・ファーマで、5位には1207.3万円の中外製薬が続きました。

ネクセラファーマは2023年にスイス・イドルシアの日本・韓国事業を買収して獲得した脳血管攣縮発症抑制薬「ピヴラッツ」が好調で、24年12月期の売上高は前期比125.9%増の288億円。営業利益は54億2300万円の赤字となりましたが、コアベースでは36億600万円の黒字を確保しています。同社は昨年4月にそーせいグループから社名を変更しました。
上位20社のうち、平均年収が前年を上回ったのは15社。20社中8社が東証グロース市場に上場するベンチャー企業でした。
1000万円超は16社
一般的に大台とされる1000万円を超えたのは16社で、昨年の集計から2社増加しました。うち6社はグロース上場企業。新薬メーカーでは、小野薬品工業と塩野義製薬が初めて大台を超えました。
持株会社の大塚ホールディングス(HD)を除く売上収益5000億円超の大手新薬メーカー5社に限ってみると、中外製薬が1207.3万円(前年度比9.3万増加)で4年連続のトップとなりました。同社は自社創製新薬のロシュ向けの輸出が好調で、24年度はコアベースで過去最高益を更新。平均年収はここ数年1200万円前後で推移しており、他社より頭一つ抜けています。

続く第一三共は1114.2万円(0.8万円増)で前年度からほぼ横ばい。3番手の武田薬品工業は3年ぶりに1100万円を超えました。武田とアステラス製薬は国内で希望退職を行ったこともあり、今年3月末時点の単体従業員数はそれぞれ939人、701人減少しています。アステラスの平均年収は64.2万円減の1046.2万円で、4年前の水準を割りました。エーザイはアステラスを若干上回る1055.6万円(1.8万円増)でした。
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増加額トップもネクセラ
前年度からの増加額が最も大きかったのは、411.2万円(26.7%)増のネクセラファーマ。2位は283.5万円増の窪田製薬HDで、増加率は54.8%と最大でした。同社は平均年齢も前年度比で約10歳上昇しています。3位はペプチドリーム。前年度から210.1万(21.9%)増加し、1000万円を超えました。

このほか、オンコリスバイオファーマと日本新薬、Veritas In Silicoが100万円を超える増加。オンコリスは2年連続で100万円以上の増加となりました。日本新薬は前年度に30万円を超える減少となった反動に加え、今回の有報から正規従業員のみの平均年収の公表に切り替えたことで大幅に増加しました。同社は「非正規従業員の働き方が多様になり、労働時間や労働日数が短い社員も増えたため」としています。
増加額が大きかった10社のうち、プライム上場企業はネクセラファーマ、ペプチドリーム、日本新薬、ニプロの4社。残る6社はいずれもグロース上場企業でした。
住友ファーマ、155万円減
一方、前年度からの減少額が最も大きかったのは495.3万円(35.8%)減のモダリス。減少率も最大で、年収ランキングの順位は昨年の3位から25位まで下がりました。減少額では339.8万円(28.5%)減のジーエヌアイグループ、185.3万円(29.3%)減のレナサイエンスと続きます。

このほかに前年から100万円以上の減少となったのは、坪田ラボと住友ファーマ。住友ファーマは2年連続で減少額が大きい10社に入りました(前年度は36.5万円減)。同社は24年に国内で早期退職者を募集するなど、経営の立て直しに向けた取り組みを進めています。プライム上場企業では同社のほか、アステラスが64.2万円(5.8%)の減少となりました。
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