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ノボ、次世代肥満症薬の治験で手痛い「ライバルへの後押し」

更新日

ロイター通信

(写真はいずれもロイター)

 

[ロンドン ロイター]ノボノルディスクにとっては手痛い「ライバルへの後押し」となった。イーライリリーが肥満症治療薬市場で独走態勢に入る中、ノボが発表した次世代肥満症薬の最新の治験データは、同社が最も避けたかった相手を利する結果となった。

 

ノボが2月23日に発表した新薬候補「カグリセマ」の後期治験データによると、同薬は体重減少効果でリリーの競合薬「ゼップバウンド」を下回った。それどころか、同治験でのゼップバウンドの減量効果は、リリーが過去に自社で行った治験の成績を上回った。

 

発表を受けてノボの株価は16%急落。一方、リリーの株価は5%上昇した。開発・販売競争が激化する中、今回のデータはノボの肥満症薬パイプラインや市場シェア奪還の能力に疑問符をつけた形だ。

 

BMOキャピタルのアナリスト、エバン・サイガーマン氏は「ノボは、リリーの製品の方が優れていることを証明する治験を行ってしまった」と指摘。カグリセマはこの1年余りで2度も期待を下回る治験結果を発表している。治験はまだ続くが、同氏は「2回試して2回とも失望させられた。それでも信じられるというのか」と話し、投資家の信頼を勝ち取るのは難しいだろうとの見方を示した。

 

リリーの支配力高まる

今回の治験結果は、リリーとの競争で反転攻勢を試みるノボにとって大きな後退を意味する。ノボは2021年に注射のGLP-1受容体作動薬「ウゴービ」を発売して肥満症薬市場を切り開いたが、今後さらにリリーの支配力が強まる可能性がある。

 

ウゴービの成功により、ノボは24年に欧州で最も価値のある上場企業となった。しかしそれ以降、両社の明暗は分かれている。リリーが一時、時価総額1兆ドルを達成した一方、ノボは業績予想の下方修正、経営陣の交代、売り上げの伸び悩みに直面。昨年は、肥満症薬を開発するメトセラの買収合戦でもファイザーに敗れた。

 

今回結果が発表された治験は、カグリセマがノボの次なる主力製品になり得ることを示すために設計された。当初は、少なくともゼップバウンドと同等の効果が期待されていた。

 

しかし、84週間にわたる治験での体重減少率は、ゼップバウンドが25.5%だったのに対し、カグリセマは23%にとどまった。カグリセマのデータは過去の治験と一致しているが、期間が短いとはいえゼップバウンドは過去のいくつかの治験の結果を上回る成績だった。

 

ノボの経営陣は、治験のデザインのせいだとして鎮静化を図ろうとした。マイク・ドゥスターCEO(最高経営責任者)はゼップバウンドの減量効果を「異常値」と言うが、多くのアナリストはこれに納得していない。

 

匿名を条件に取材に応じたノボの株主は「結果は治験の通りだ」と話し、経営陣の主張を「苦しい言い訳」と一蹴した。ノボはこうした投資家の反応へのコメントを避けた。

 

ドイツ銀行のアナリストは2月23日、リリーは強力な製品・開発品を擁しており、今回のデータは肥満症・糖尿病薬市場が「リリーのポートフォリオを中心に収束していく可能性が高い」ことを意味していると記した。

 

ノボはウゴービの経口薬を米国市場に先んじて投入したことで一矢報いたが、リリーも4月には競合する経口薬の米国承認を見込んでいる。

 

経営陣とアナリストの対立

JPモルガンのアナリストは、「ゼップバウンドがすでに確固たる地位を築く中、ノボがリリーからシェアを奪うのは難しいだろう」と見る。HSBCのシニアグローバルライフサイエンス&ヘルスケアのアナリスト、ラジェシュ・クマール氏も投資家向けメモで「今回の試験は、肥満症薬市場でのカグリセマの価値にさらなる疑問を提起している」と書いた。

 

ノボが開いた投資家向けの電話会議では、ドイツ銀行のエマニュエル・パパダキス氏が「カグリセマはウゴービのアップグレード版としてはもはや時代遅れなのではないか」と質問したのに対し、ドゥスターCEOは「承認されればラベルに記載されるデータとして最高の数値を持つことになる」と反論した。同社のマーティン・ホルスト・ランゲCSO(最高科学責任者)は、カグリセマの真のポテンシャルを見極めるには忍耐が必要だと補足した。

 

今回の発表でノボはさらに厳しい立場に立たされることになった。バークレイズは投資家向けメモの中で、ゼップバウンドよりカグリセマを優先して使用するよう患者や医師を説得するのは「困難な戦いになる」と指摘。「価格以外で競争できる要素はほとんどない」との見方を示した。

 

(取材:Maggie Fick/Bhanvi Satija、翻訳:Adam Jourdan/Jonathan Oatis、翻訳:AnswersNews)

 

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