
2026年がスタートしました。今年もよろしくお願いいたします。
年末年始のお休みで、少し立ち止まってこれまでを振り返ったり、これからのことを考えたりする時間を持った方も多いのではないでしょうか。私は、会社でアドボカシーの仕事をしながら、個人としてこのコラムを書いたり、SNSで発信したり、別の団体で広報の仕事をしたりしていますが、そうした一個人としての活動が業界にとってどういう意味を持つのか、新年を迎えるにあたってあらためて考えました。
昨年12月のコラムでは、2025年を振り返る形で「交わり、混ざり合うこと」の大切さについて書きました。「交わり、混ざり合う」という状況は、待っていれば自然に起こるものではなく、自ら動いてこそ生まれるものだと、個人的な経験から感じています。
製薬企業でアドボカシーに携わるようになって2年半ほどたちましたが、仕事をする中で次第に広報のような役割に興味が湧き、会う人会う人にその思いを伝えてきました。そうしたところに舞い込んできたのが、「Japan Pharmaceutical & BioScience Society(Japan PBSS)」という非営利団体のPR & アドボカシーの仕事です。当初は私1人でその役割を担っていましたが、年末には仲間が1人増えました。
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Japan PBSSは、「知の流動化を通じて創薬を推進する」というビジョンに共鳴した個人が、企業や組織を超えて集い、手弁当で活動しているコミュニティです。創薬・バイオサイエンスを取り巻くエコシステムを少しでも良くしたい。そうした思いを持つ人が、肩書きや立場に関わらず運営に携わっています。
そうした場で「個」として発せられる言葉には、企業や組織の中ではなかなか聞くことができない率直さがあるように感じています。その声に触れるたび、創薬という営みが、組織や仕組みだけでなく、一人ひとりの思いにも支えられていることを実感します。創薬という大きな取り組みの中で個人の存在をリアルに感じられること自体、私にとって大きな刺激であり、そうした個が集う場づくりに関わることに大きなやりがいを感じています。
組織の外へと一歩踏み出す
もちろん、こうした活動がすぐに会社の売り上げやパイプラインにつながるわけではありません。
しかし、個と個とが組織や立場を超えて築く信頼関係は、無形資産として確実に蓄積されていきますし、「自分は何のためにこの業界にいるのか」という視座が磨かれていくように感じています。個人として得た視点やつながりは、やがてそれぞれが所属する組織に持ち帰られ、対話や意思決定などあらゆる場面で静かに効いてくるはずです。
創薬という営みは、1つの企業、1つの組織で完結するものではありません。もちろん、1人でできることでもありません。だからこそ、組織の外へと一歩踏み出す個々の存在が、この業界にとって重要なのではないでしょうか。私が担うPRやアドボカシーという役割は、声を大きくすることではなく、声が生まれる場を支え続けることなのだと、最近感じています。
最後に少しだけ(PRらしく)告知をさせてください。Japan PBSSでは昨年10月、「がんを対象にした医薬品の研究開発におけるモダリティ戦略」をテーマにキックオフイベントを開催しましたが、これに続く2回目のイベントを2月21日に開催します。テーマは「希少疾患に向けた創薬」で、会場(東京・日本橋)とオンライン(Zoom)のハイブリッドで行います。関心のある方はご参加いただけると嬉しいです。イベントの概要と参加申し込みはこちらからお願いいたします。
※コラムの内容は個人の見解であり、所属企業を代表するものではありません。
| 黒坂宗久(くろさか・むねひさ)Ph.D.。アステラス製薬アドボカシー部所属。免疫学の分野で博士号を取得後、約10年間研究に従事(米国立がん研究所、産業技術総合研究所、国内製薬企業)した後、 Clarivate AnalyticsとEvaluateで約10年間、主に製薬企業に対して戦略策定や事業性評価に必要なビジネス分析(マーケット情報、売上予測、NPV、成功確率、開発コストなど)を提供。2023年6月から現職でアドボカシー活動に携わる。SNSなどでも積極的に発信を行っている。 X:@munehisa_k note:https://note.com/kurosakalibrary LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/mkurosaka/ |




