
ファイザーとの合意を発表するドナルド・トランプ米大統領(ロイター)
[ロイター]かねて米国の処方薬が高すぎると主張してきた米国のドナルド・トランプ大統領は9月30日、米ファイザーと値下げに合意したと発表した。同社は低所得者向け公的医療保険メディケイドの医薬品価格を引き下げるとともに、米国で発売する新薬について最恵国待遇価格を設定する。トランプ氏は、ほかの製薬企業もこれに続くと期待している。発表の詳細をまとめた。
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直販サイト「TrumpRx」
米国政府は2026年初めに、「TrumpRx」と呼ぶウェブサイトを開設する予定だ。これは、消費者が医薬品を検索し、メーカーから直接購入できるかどうか確認するのに役立つ。
既存の消費者向け直販プラットフォームでは通常、患者は医薬品を全額自己負担で購入しなければならず、医療保険を利用するより高額となる場合がほとんどだ。これは、保険請求を取り扱う薬局で調剤してもらい、一定の自己負担で薬剤を受け取るのとは大きく異なる。
医療保険未加入者に対しては、製薬企業は低価格または無料の薬剤プログラムを提供することが多い。
メディケイドで値下げ
ファイザーは、低所得者向け公的医療保険メディケアの対象となる医薬品のほとんどで価格を引き下げることを約束した。値下げの時期や額の詳細はほとんど明らかにされていない。
メディケイドは米国の医薬品支出の約10%を占めている。製薬企業はすでに、メディケイドに大幅な割引を提供することが法律で義務付けられている。
トランプ政権は、メディケイドの価格引き下げがほかの政府の医療保険プログラムや民間医療保険にも影響を与えるかどうかについては言及しなかった。
最恵国待遇価格
ファイザーは、米国で発売する新薬の価格をほかの高所得国と同水準とすることを確約した。
調査によると、米国はほかの高所得国よりブランド薬に3倍以上の費用を支払っている。ロイターの分析によると、製薬企業が希少疾患に力を入れるようになった結果、米国で発売される医薬品の価格は2024年に37万ドルに達し、21年の18万ドルから2倍以上になった。
一部の製薬企業はすでに、他国での発売価格を米国に同調させることを誓約している。たとえば、米ブリストル・マイヤーズスクイブは先週、英国で26年に発売する統合失調症治療薬「Cobenfy」について、価格を米国の定価に合わせることを明らかにした。同薬は、英国での発売予定の1年半前に米国で承認されている。
発表された価格が最終価格となるのか、それとも製薬企業がさらなる値引きを提供できるのかについては疑問が残る。
トランプ政権は、製薬企業が研究開発投資を維持できるよう、他国に価格を引き上げるよう圧力をかけるべきだとしえいる。他国の政府は反発しているが、一部では譲歩についての話も出ている。
見返りに関税免除
トランプ氏は、米国に工場を建設しない製薬企業のブランド薬や特許薬について、10月1日から100%の関税を課すとしている。
ファイザーは、現在国外から輸入している医薬品を100%米国内に移転することを約束した。その見返りとして、政権はファイザー製品について関税を3年間免除する。
(取材:Deena Beasley、編集:Stephen Coates、翻訳:AnswersNews)




 
				


 
								 
								
 
											 
											 
											 
											 
											



