
米保健福祉省のロバート・F・ケネディ長官(ロイター)
[ロイター]米国のワクチン政策を所管する疾病対策センター(CDC)のスーザン・モナレズ所長が、8月27日に就任から1カ月足らずで解任された。ワクチン政策をめぐってロバート・F・ケネディ保健福祉省長官と対立していたとされる。今年初めのケネディ氏就任以降、CDCに起こった主なできごとをまとめた。
大規模解雇
ケネディ氏は就任後間もなく、保健機関の職員1万人を解雇する計画を発表した。その一環として、CDCではこれまでに約2400人が解雇されたが、このうち約700人は再雇用されている。8月上旬にも、少なくとも600人のCDC職員が恒久的な解雇通知を受け取った。
所長人事
ドナルド・トランプ大統領は当初、CDC所長候補にワクチン反対派のデビッド・ウェルドン氏を指名したが、連邦議会の指名公聴会の直前に撤回した。
予防接種諮問委員会
ケネディ氏は6月、CDCの予防接種諮問委員会(ACIP)の委員17人全員を、利益相反を理由に解任した。ケネディ氏は利益相反の具体的な根拠を示さず、ワクチンに対する国民の信頼を損なう措置だとして批判された。
新たな委員には、ワクチンに反対の立場をとる人物も複数含まれている。mRNAワクチンに反対するロバート・マーロン氏もその1人だ。ワクチン懐疑論者のレツェフ・レヴィ氏も委員に就任し、CDCの新型コロナウイルス予防接種作業部会のリーダーに選ばれた。
新型コロナワクチン
ケネディ氏は5月、CDCの諮問プロセスを経ないまま、妊婦と健康な子どもへの新型コロナウイルスワクチン接種に関する連邦政府の推奨を撤回するとSNSで発表した。CDCはその後、両親と医師が必要性を認めた場合、健康な子どもへの新型コロナワクチン接種は引き続き選択肢になるとフォローした。
幹部の辞任
モナレズ氏以外にも、CDCでは主要な科学者の辞任が相次いでいる。
6月には、小児感染症専門医のラクシュミ・パナギオタコプロス博士が、新型コロナワクチンに関する諮問を行う作業部会の共同リーダーを辞任した。辞任は、ケネディ氏が妊婦と小児への新型コロナワクチンの推奨を撤回すると発表した直後のことだった。
その数週間後には、新型コロナウイルス感染症とRSウイルス感染症のデータを監督していたフィオナ・ハヴァース博士が、データ利用に関する懸念を理由に辞任した。
モナレズ氏が解任された今月27日には、▽デブラ・ホウリ―CDC最高医療責任者▽ダニエル・ジャーニガン国立新興・人獣共通感染症センター所長▽デメトレ・ダスカラキス国立予防接種・呼吸器疾患センター所長▽ジェン・レイデンCDC公衆衛生データサーベイランステクノロジー局長――も辞任した。

CDC所長を解任されたスーザン・モナレズ氏(ロイター)
自閉症研究
3月には、CDCがワクチンと自閉症の潜在的な関連性に関する大規模な研究を計画しているとロイターが報じた。ワクチンと自閉症の関連は広範な科学的研究によって否定されている。ケネディ氏は、9月に自閉症の原因に関するいくつかの調査結果を発表すると述べている。
銃撃事件
8月上旬、アトランタにあるCDC本部で銃撃事件が発生し、警官1人と容疑者が死亡した。容疑者の男は、新型コロナワクチン接種によって自身が病気になったと信じて逆恨みし、犯行に及んだとみられている。保健機関職員の安全に対する懸念が高まり、緊急時の対応手続きの厳格化を求める声が上がっている。
(取材:Puyaan Singh/Sneha S K、編集:Rod Nicke、翻訳:AnswersNews)




 
				


 
								 
								
 
											 
											 
											 
											 
											



